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第59話 営み
翔優は、まだ少年のあどけなさは残しつつ、高校生活を過ごすことで自尊心が高まってきた様子もうかがえた。
なのに、相変わらず僕に執着している。
今だって、立派に男の眼をしている。
翔優はのしかかってきて、僕の唇を吸った。
舌使いは下の時と変わらない。
いかにも気持ち良さそうなところを刺激するが、自分本位にしたいだけする。
最初に獣に躾けられたのだから、キスでコミュニケーションするなんて、わからないのだろう。
舐めたいだけ舐めて、息を荒くして、興奮しながら僕の体にも舌を這わせる。
僕の体も、律儀に反応する。
ようやくいつもの位置につき、翔優にとってお勤めなのか趣味なのか、の時間が始まった。
よくもまあ、毎回飽きずにやれる。
翔優の手が、尻の方に回る。
「……翔優……そっちは辞めよう。まあ、小説では散々書いてはいるが、尻が壊れたら日常生活に困るから。」
そう言うと翔優は残念そうに引き下がったが、欲求不満そうだった。
もう一度キスをしてくる。
さっきよりも舌の出し入れが激しい。
ここでも擬似的な性交をする。
いっそ、僕が女だったら話は早かっただろう。
リビングのソファで、唾液まみれにされた僕と、獣のように荒い息遣いをする翔優。
そこには、何もない。
「いくら体を求めても、翔優が満たされることはないと思うんだ。僕には誰かを特別に愛する機能がない。僕にこだわらず、他を見なよ。君にとって運命の人がいるかもよ。」
僕は浴衣を着直した。
翔優は何も言わなかった。
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