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第48話 初夜 ⑧

 楔の先端を爪で引っ掻かれる。 「アレク様……アレク、様.おやめ、ください……。何か、が……きてしまい、ます……ああぁぁ……ッ」  腰の奥の疼きが楔の根本に集まってくるのを感じる。  夢精も自慰も聞いたことはあったけど、どういうことかは分からない。 「アレク、様……アレク、様……っ」  身体の中に渦巻く快楽に飲み込まれそうになり、許しを乞うように名前を呼び続けているのに、アレク様は僕を責め立て続け……、 「何か……何か……ふ、ぁぁぁ……」  楔の根本に集まってきていた熱いものが、勢いよく楔の先端に登っていく。  もう……ダメ……。  ぎゅっと目を閉じる。 「イけ……」  頭に響く艶かしい声で、アレク様に囁かれ目の前が真っ白になり、 「ああぁぁぁ………あああ……ッッ」  身体の中で渦巻いていた快楽が白濁とした液となって楔の先端から放たれ、アレク様の手から流れ落ちる。  全身が脱力感に襲われ、力が入らないのに全身が痙攣し、朦朧とした。  「濃いな」  手の中に放ってしまった白濁とした液を、アレク様はペロリと舐めた。 「! アレク様…申し訳ありま、せん………。気持ちよくなりすぎて…目の前が真っ白になったと思ったら……|楔《ここ》から変な液体が……出てしまい、アレク様の手を汚してしまいました……」  汚してしまった手の液を拭き取れる物はないかと、あたりを見回したが何もない。  どうしよう……。 「気にするな。ユベールは本能に流されればいい」  アレク様は僕を上向けに寝かせる。 「声も気持ちいいも我慢することは許さない。俺の前で乱れてみろ」 「これ以上、気持ちよくなってしまうのですか……?」 「ああ、嫌というほど愛してやる」  アレク様に触れられると頭がおかしくなるのに、それ以上って……。  僕が僕でなくなってしまいそうで怖い。  でもアレク様になら身体を委ねたい。 「アレク様に全て捧げます」  アレク様の頬を両手で包み込むと、自ら口を開けた。 「いい子だ」  口角を上げニヤリと笑ったアレク様に、貪りつくような濃厚な口付けをされる。  息はすぐにあがり、上手く息ができない。  意識が朦朧とすると、 「ふぁぁ…、あぁ……」  先ほどまで弄られ続けていた、ぷくりと膨らんだ乳首をアレク様が口に含む。  舌先で転がされたり、時折乳首を甘噛みされると、ピリッと電気が走ったようになり腰がビクンッと震え、その度に楔が硬くなってくる。  「アレク、様……また……また、きてしまい、ます……」 「イきそうなのか?」  イくってなに?  よくわからないけれど、体の中に集まってくる快楽が吹き出してしまいそうなことを言うならそうだと思い、 「イき……そう、です…、ぁぁっ、はぁ……ンン」  アレク様、もっと……。  恥ずかしくて口に出せないかわりに、胸をアレク様に押し付けてしまう。  ぴちゃぴちゃと乳首を舐められる音がする。  さっきみたいに、もっと舐めて、吸い上げて、噛んでほしい。

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