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第1話-2 飲みすぎるとろくなことはない*

 個室に区切られた店で季節料理をメインに地酒を酌み交わす。どれも新鮮な食材で酒のあてとしては申し分なく、次第に酒量が増えて行く。 「お前ほんっとにプレゼン上手いよなあ。聞いてて惹き込まれそうになったぜ」 「ははは。なんだよ、そんなに褒められるとくすぐったくなるよ」 「いや、マジで。正直言うとさ、最初は妬いたんだぜ。こいつ同期のくせになんでこんなに次々案が浮かぶんだ?ってね」 「ありがとう。素直に喜んでおくよ。倉沢の言葉には裏がないからね。本心で言ってくれてるんだろうなって思うから」 「ん~? お前なんかあったの?」 「まあね。俺の周りに寄ってくる女の子って媚びてる感じの子が多くてさ。なんか受け入れられないっていうか」 「そりゃあ、好かれたいからじゃねえのか。よくわからんが。あわよくば付き合いたいって気持ちがあるんだろうよ」 「それが気持ち悪いんだ……」 「なあに言ってるんだか。この贅沢者が~。俺なんか彼女もいないんだぜ。でも、まあ俺もそういうの苦手だからな。気持ちはわかるよ」 「そうか。わかってくれるか」 「おう!俺ら気が合うもん同士、今日は飲み明かそうぜ~」  たわいのない話にも花が咲き、気が付けばかなり酔いが回っていた。 「おい、大丈夫か?」 「大丈夫。大丈夫。俺は酔ってません~」 「へへへ。僕も酔ってないですぅ」  タクシーを降り安住のマンションに転がり込んだ。 「ははは。倉沢。お前本当に良い男だな」 「なんだよ~。今頃分かったのか?お前もいい男じゃねえか」 「ふはは。そうか僕もいい男か……」 「うんうん。お前と同期になって俺は本当によかった」 「僕が倉沢のこと好きだって言ったらどうする?」 「ん~?人を好きになる事にどうもこうもないだろ?」 「そうだね。そうなんだよ。キスしてもいいか?」 「はは。なんだお前キス魔だったのか」  チュッと軽くキスをすると安住が俺の身体を抱きしめてきた。 「んふふ。お前あったかいなあ」 「そうかな?心臓がバクバクしてるせいかもな」 「バクバク?ちょっと聞かせろよ」  俺は安住の胸に耳をつけようとしてバランスを崩し、そのままベットの上に押し倒した格好になった。 「うひゃひゃ。寝っ転がっちまったぁ」 「大胆だなぁ。僕が押し倒すはずだったのに」 「そうかぁ?俺が押し倒されるんだったのかぁ~」  安住の腕が俺を抱き寄せ、そのまま反転させられた。 「んん……ぁ……」  重なった唇が深くなる。そういえばこんなまともなキスしたのって久しぶりじゃないのか? 気持ちいい……。 「なぁ。嫌がる事はしないから……いいか?」 「ん~? いいよぉ。嫌なことはしないんだろぉ?」 「倉沢。ずっと好きだったんだ……」 「おう。俺だって安住のこと。だいだい大好きだぁ~」 「言質はとったからな。好きだっ倉沢……」 「ふはは。くすぐったい。……んぁ……はぁあ……んん」 「気持ちいいだろ?」 「ん。ぁ……そこ。もっと……」 「そうか。ここか?ここなんだな……」 「あっ……ぁああ……」

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