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第15話

武器作りとして長い歴史を持つヴェルゼ一族はランスタッドの鉱山を所有し、巨大な工場地帯を与えられている。鋼材採取はもちろん、工房の増築や水道整備も自己責任で行うことができる。 女性や子どもは製造や発掘といった力仕事には携わらずに、少し離れた場所に家を建てて裏方としてサポートするか、静かに暮らしている。男手のおかげで衣食住には困らない生活が送れていた。 祖先から受け継がれた技術と知識が何よりの宝だ。工場からさらに離れた場所に、集落の跡地がある。伝達や物資の運搬等不便な為、王都の近くに移住するよう命じられたらしい。一族は時の王に従い、百年近く前に今の土地に移り住んだという。 ノーデンスは小さなランタンを手に、夜の廃屋へ訪れていた。 嵐などのせいで家屋のほとんどは倒壊してしまったが、頑丈な家はまだいくつか建っている。かつて人が住んでいたとは思えないほど不気味だが、中には毛布や缶詰が散乱してあり、仄かな生活感を演出していた。 ここからさらに外れへ行くとランスタッドの墓地がある。息を引き取れば、国民は皆そこへ運ばれ、土の中に埋められるのだ。 慈しみよりも深い悲しみと強い怨念が集まる特別な場所。昼に来ても夜に来ても、誰かの泣き声と叫び声が聞こえる気がする。 暗いエネルギーが集まる。だからこそ選ばれたのだろう。 廃屋の最奥にあるドアを開け、地下へと繋がる扉を持ち上げた。開けた瞬間、風など吹かないはずの地下から肌を焼くような熱気が込み上げる。 待っていた、と言わんばかりに地下の廊下に明かりが灯る。誰もいないはずの空間。その奥から泣き叫ぶ声。 左手の薬指にそっと手を被せ、今夜も導かれるように階段を降りていく。

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