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第20話

最後に熱を計った時は平熱まで下がっていた。それに安堵して瞼を伏せ、深い眠りに落ちた。 異常なほど深い眠りに。だから目を覚ました時はしばらく状況が掴めなかった。けたたましい轟音によって叩き起されたかと思えば、窓の外を塗りつぶす黒煙が吹き上がったからだ。 この城が攻撃されている。 もぬけの殻となった廊下を走りながら、携帯端末でオッドに連絡した。 『あっ! ノーデンス様、今どちらに?』 「中央塔。悪い、実は今の今まで寝てた」 『薬のせいでしょう。仕方ありませんよ……幸い爆発の確認は一度だけで規模も小さい。まだ詳しい調査はできていませんが、城壁が崩れただけのように見えます』 確かに、爆音が大きかったわりに中は大した被害じゃない。意図して威力の小さいものを仕掛けたなら、今回の目的は揺さぶりかもしれない。 城の中も外も、炎が上がった様子はなかった。 『城の周りも包囲が完了しています。中に犯人が紛れている可能性も考えて、城から出てきた者は全員確認、保護しています』 「ありがとう。それと陛下達は」 『無事ですよ。地下道を使って基地に移動してもらいました。護衛も信用できる者しかいませんから、ご安心を』 事件が“起きてしまった”時の対応としては問題ないし、むしろ合格だ。あとはこれから“起きるかもしれない”ことを防ぐ。通信を切り、口元を手で覆った。 まだ少し頭に鈍痛があるものの、意識はクリアだ。広間を出て爆破された場所へ向かった。 爆発により吹き飛んだ壁の破片を拾い、その熱を感じるように指で撫でる。地味な作業だが収穫はあった。数分もしないうちに微かな神力を見つけた為、瞼を伏せて城中の気配を辿った。 仕掛けた爆弾は全部で三つ、どれも中型の時限爆弾。分解しなくても力を注ぐことで、中の火薬を灰にできる。これでひとまず処理は完了だ。

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