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1日目:終わる一日

 何回、何秒間絶頂し続けたのか、もう覚えていない。ぼろぼろと流れる涙で、目の前にはぼんやりと霞が掛かって次第に何も見えなくなっていった。果てしないイキ地獄の中で、ザラキアは本当にシンジを狂わせようとしているのかもしれない。壊されることへの恐怖と、いっそ壊れてしまいたいほどの破壊的な気持ちよさに挟まれ、意識がスッと遠くなりかける。  シンジの耳に、ザラキアの笑い交じりの声が届いた。  「上出来だ、シンジ。上手く中でイけたから、ご褒美をやろう。──前を扱いて出させて欲しいなら、その口できっちりご主人様(マスター)におねだりしてみろ。出来るな?」  魔族で、人間を奴隷としか考えていない調教師であるというのに、ザラキアの促す声はどこか諭すような優しさを含んでいた。人間の生活をしていた時には、久しく掛けられなかった言葉だ。  堪らずに、目を見開いてシンジは叫んだ。最早、形振(なりふ)り構おうという気持ちも、恥ずかしいと思う気持ちもすっかりどこかに消え果ていた。  「…っ、イかせて、イカせてくださいっ…。──ご主人様(マスター)の手で…たくさん触られて、精液を…出したい──です…っ。」  「よし、いい子だ。──ほら、思いっきりイけ、…イッちまえよ…!」  ずるん!と尿道プラグを抜き取られるだけで、全身に乾いたオーガズムが走り抜ける。ザラキアの大きな温かい手が、萎えることもなくそそり勃ったシンジの牡を握り込んで激しく上下に扱き立てると同時に、肉穴に埋まった二本の指がゴリゴリと性感帯を真上から押し込んでくる。  「ひぃッ、あ…ぁ…ぅ、──イ…くぅ──っ…!」  溜まりに溜まった精液を、一滴残らず搾り取られるかと錯覚した。強烈な二点責めに目の前を蕩かせながら、身体を震わせて勢いよくビュクッ、ドクッと白濁液を迸らせる。  散々雌としてイカされた末、ようやく迎えた牡としての快感は、あまりにも強烈だった。ぶるりと腰を揺らしながら、一滴残らず搾り取ろうとする手の動きを追い掛け、(まなじり)を緩めてほぅ、と至福の溜息を吐く。自然と、表情がとろりと蕩けるのを感じた。  「ヴィンテージの処女なんか(さば)いたこともねぇが、それにしてもお前は、なかなか覚えがいい。強めの調教の方が感じるな?性奴隷(セクシズ)になるために生まれてきたような、いやらしい身体じゃねぇか。」  「──は…、ぁ…。」  ろくに返事もできず、ぐずぐずに溶けた両脚の間と、下腹をべっとりと濡らして冷え乾く精液をザラキアに拭き取られながら、シンジはザラキアの言葉をぼんやりと脳内で反芻(はんすう)していた。  思い返すのは、現実世界の、労働奴隷のような毎日。辛いばかりで喜びのない、仕事漬けの日々。  七日間の調教を終えた時、自分自身がどうなっているのかは、シンジには想像が付かなかった。しかし、調教師としてのザラキアは、シンジを嘲笑うことも蔑むこともなく、言いつけに従いさえすれば望みの褒美すら与えてくれる。  身体の奥は、そこに心臓が生じたかのようにドクドクと不規則に疼き続け、激しすぎる快楽の余韻を物語っていた。  散々だらしなく鳴き濡れた唇の中心にザラキアの指が触れ、霞む視野の中、端整な顔立ちの彼が二ッと笑うのが見える。  「今はまだ、この処女穴に感じ方を教えるだけだがな。そのうち、ここを使うことも教えてやろう。…残り六日だ、必ず仕上げる──。」  七日間という時の果てに、何かが待っているかのような口ぶりだった。だが、今のシンジには、それを問う勇気も気力もない。愛玩動物のように黒髪を撫でられ、それがあまりにも心地よくて、しばらくの間、そっと目を伏せて感じ入っていた。

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