ちゅぽっと小さな音を立て、シンジの牡茎の中を犯していた蟲の長い触手が引き抜かれる。その衝撃だけでまた甘くイキかけたシンジの中で、律動を続けるザラキアが、一段と熱く脈打ちながら張り詰めていく感覚が、狭く絡み付く肉壁を押し広げてダイレクトに伝わってきた。 　このまま膨れ上がったザラキアの牡に引き裂かれてしまう、という恐怖より、肉壁がめくれ上がるほどめちゃくちゃにされたいという欲望がシンジの脳髄を支配する。 　全身が性器になる、というたとえがたとえでなくなるほど、どこもかしこも暴き尽くされ、限界まで尖った快楽神経を一箇所でも刺激される度に、激しく身もだえしながら呆気なく空イキや潮吹きで絶頂を迎え続けた。 　今までに聞いたことのない、ザラキアの熱い息遣い。荒く勇む、昂ぶりきった声。 　「──さぁ、フィニッシュだ、残った精液全部ブチまけて派手にイけ！一滴も残さず、完璧にイッちまえ──！淫乱性奴隷の、最高の顔を見せてやれ──！」 　命令の声がビリリと鼓膜を犯す、それすらも快感。 　望んで処女を捧げた主人の熱いモノでグチュグチュと激しく突き上げられ、頭までガクガクと揺すぶられながら、噴火のようにせり上がってくる最高潮の吐精感にとろんと瞳を蕩かした。 　「…ぁ…ナカから、大きい…の──来る…ッ、いっぱい突かれるの、すき…ぃ…ッ、──い、イく、ご主人様(マスター)のでイっちゃうぅぅ──っ…！」 　硬く張り詰め切った内壁のしこりから結腸の奥まで一思いにズリュッと押し潰して、これ以上入れない奥処でザラキアはピタリと動きを止めて息を詰める。 　今や主人の怒張の形を完全に覚えた肉穴の奥に、ドクドクと疼きながらビュルビュルと熱い体液が叩き付けられるのが解った。それそのものが媚薬であるという淫魔の射精は、初めての身体にはあまりにもキツ過ぎる。 　ひゅうっと喉が鳴り、息が止まるかと思った。背中が大きくのけ反り、指先からつま先までピクピクと震える。濡れそぼった唇からほとばしる、大広間に響く艶めいた最後の嬌声。 　「いぁあぁ…、ひあァぁアぁ──ッッッッっ！」 　射精を受け止めた肉壁は、完全にメスに堕とされてしまった。奥の襞が、まるで着床を歓(よろこ)ぶ子宮のようにざわめき、精液を吐きながら熱く脈打つ亀頭部分へと、きゅっと絡んで吸い付いてしまう。 　許容限度を超える激しすぎる性感に、触られてもいない牡茎全体を震わせながら、鈴口からビュクビュク大量の白濁液を迸らせてシンジは派手に絶頂する。 　同時に、快楽に打ちのめされた精神が、ついに限界を迎えた。ぐるんっと世界がひっくり返り、そのまま意識だけが闇の底に落ちていく。 　初めてのセックスで気絶するまでイカされ続ける、という体験は、きっと死ぬまで忘れられない。もう、元の世界に戻って普通の生活をしたとしても、絶対に満足はできないと確信できた。 　精も根も枯れ果ててがくりと力の抜けていくシンジの小さな身体をいとも軽々と支えながら、キツく締まる肉壁の中で存分に射精した満足感にぶるりと身を震わせ、さも楽しげに、高らかに宣言するザラキアの声が聞こえる。 　「──それじゃあ、すっかり出来上がっちまってる皆の衆よ。この十年の最高位性奴隷快楽調教師(マスター・オブ・ザ・パペット)の称号(タイトル)は、またしてもこのザラキア様で決まり。そういうことで異論はねぇな…？！」 　 　「……素晴らしい──！素晴らしい見せ物だった…！」 　「ザラキア！ザラキア…！」 　「全く、貴殿こそ最高位性奴隷快楽調教師(マスター・オブ・ザ・パペット)にふさわしいとも…！」 　割れんばかりの嬌声、喝采、足踏みや拍手。 　堕落や淫蕩をこよなく愛する魔族たちが、十年に一度の素晴らしいショーを披露した最高の調教師と奴隷を称え、惜しみなく舞台に投げ込まれる金貨や宝石がきらきらと煌めく。 　ふしだらな背徳で埋め尽くされた饗宴(サバト)のその後の様子を知る方法など、イキ疲れてビクビクと痙攣しながら意識を失ったシンジには、最早、ありはしなかった。