5 / 20
第4話
「だ、大丈夫なんですか? 本部から外に出ちゃいけないって……。一時から検査があるってアカートさん言ってたじゃないですか」
「少しくらい平気だろ」
ディヒトバイとお揃いの黒い隊服に着替えて腰に刀を差し、軍本部内をひたすらに歩く。
エレベーターで登ってきた地上階には多くの人がいた。
エレベーターホールからさらに大きな廊下を通る。英雄であるとされるディヒトバイと、知らない大男。その組み合わせが気になるのか周囲の人々から奇異な目で見られているのがわかる。
どこに向かうのだろうと気にしながらディヒトバイのあとを着いていくと、資材置き場に着いた。狭い道の両脇に所狭しとコンテナが積まれている。隊員は忙しなくコンテナから何かを積み下ろししている。
ディヒトバイに気付いた隊員たちは手を止めて敬礼をした。
「構うな。通るだけだ、仕事を続けてくれ」
そう言ってホールの出入口に突き進む。そういえば、ディヒトバイも軍人というからには階級があるのだろう。どの程度の階級なのだろうか。少なくとも一般兵の上官ということはわかる。が、軍隊に詳しくないのでこれだ、と言われてもピンとは来ないだろう。
そして、隊服と同じ黒い帽子と黄色い腕章をつけて隊員の監督をしている人間――恐らく何らかの隊長だろう――に話しかけた。
この隊長も同じく手を止めてディヒトバイに敬礼した。
「レオニード班はどこの配置だ」
隊長はディヒトバイとその後ろで何もわからず突っ立っている俺を不審そうに見上げてから答えた。
「今日は避難民キャンプのCブロックで、配給についています」
「わかった。……そうだ、その帽子、貸してくんねえか」
言ってディヒトバイは隊長の帽子を指した。
「はぁ……」
隊長は言われるがままに帽子を脱いでディヒトバイに手渡した。
「ありがとな。すぐ返すからよ」
ディヒトバイは帽子を受け取って目深に被り、出入口に向かっていく。
「これでいいだろ」
「……ディヒトさんは人目を気にしないといけないんですか?」
「色々あってな」
様子を見ていた隊長が口を開いた。
「あの、Cブロックに行くなら抑制剤を持って行っていただけませんか? 手違いで数が足りなかったんです」
「ああ、わかった」
そう言って隊長は背後に積まれた段ボールを一つ取り出し、ディヒトバイに預けた。
段ボールを持ったディヒトバイは軍本部の外に歩みを進めた。
「持ちますよ。えらいんでしょう、ディヒトさん」
そう言ってディヒトバイから段ボールを取る。
「階級なんざ飾りだ」
ホールから出ると、そこにはテントがいくつも張られ、そこには疲れ果てた顔をした人々が座り込んでいた。
山を這うようにある狭い土地を道にして、人間の住居や資材置き場は斜面に支えを立てて確保している。
「何なんです、ここ」
「隣のドーム型国家プロテウスからの避難民だ。プロテウスは都市を爆破して悪魔一機と刺し違えた。悪魔は倒したが国はボロボロ、住むにも困る有様だ。だから一番近いここチタニアまで避難しに来てる。とはいえ、こっちだって生きていくのに精一杯なんだ。助ける余裕があるかというと、な」
「この人たち、助けられないんですか?」
「言っただろ、チタニアもプロテウスもドーム型国家って。平たい土地は全部壁で囲っちまったんだ。だから土地には限りがある。全員を中に入れることはできねえ。外にテント張るくらいしかできることがねえのさ。食糧もよそ者に分け与えるほど余裕がねえしな。従軍希望者とその家族、女子供から優先して中に入れてはいるが、いつまで持つか……」
「従軍希望者って、中に入りたければ軍に入れってことですか? それは強引すぎるんじゃ……。平等じゃありませんよ」
俺の言葉にディヒトバイは振り返って立ち止まった。その顔には失望のような、悲しみのような、それでいて怒りが含まれているような、何とも言えない表情をしていた。
右目の眼帯がディヒトバイの表情を読み取るのに邪魔をしていて、はっきりとした感情がわからない。
「俺たちは悪魔と戦争してんだ。この非常時に平等だの公平だの言ってられねえんだよ。さっきお前が食ってた飯だって高級品だ。お前が俺の関係者だから飲み食いに困らねえんだ。誰だって助けられるなら助けてえんだよ。でも現実が無理だって言ってくるんだ。その中でやれることをやってる。……意地悪でやってるんじゃねえ。誰もが生きるのに必死なんだ。それだけわかってくれねえか」
「……は、はい。ごめんなさい……」
ディヒトバイの言葉に、自分の至らなさを知った。
思えば現代日本は概ね平和である。その物差しで悪魔と戦争をしているこの世界を測ることはあまりに礼を欠き、甘い考えだった。
ディヒトバイはそのまま無言で歩き続けた。そのあとをただ着いていく。
薄汚れた格好をした人々が明日もわからない生活に表情を失くし、子供の大きな笑い声が寂しく響いていた。
守るというのか。この人たちを。
ドームの中にはまだ行ったことはないが、ここにいる避難民たちと同じだ。戦う術を持たない人間。
弱き人々を守るためにディヒトバイはどんな目に遭ってでも起き上がり、悪魔に立ち向かっていく。一体何がそうまでさせるのだろうか。
「あなたは、どうして悪魔と戦えるんです」
肩で風を切って堂々と歩く背中に問いかける。俺の問いにディヒトバイは立ち止まって振り返る。
「なんでそんなことを聞く」
「……俺だったら、怖くて立ち上がれないからです。どんなに惨めでも、自分を優先して閉じこもってしまうからです。でも、あなたは立ち上がって、戦おうとしている。なんでだろうって」
「……それが俺の、英雄のやるべきことだからだ」
それだけ言うとまた歩き始めた。
「なんであなたがやらないといけないんです、あんな目に遭ってまで……」
「俺だけが悪魔と戦える。だからだ」
そんな義務感だけで命を懸けて戦えるのか。
そこには理由がない。やらねばならないからやる。だとしたら、なぜやる必要があるのか、という前提がなければならない。勉強をやらなければいけない、なぜなら受験に合格するため、というような。
そのなぜを、この人は答えてくれない。
ひどく空虚で、歪な在り方のように思う。意図的に見えないようにしている。下衆の勘繰りをされたくないとしても、まったく動機を言わないのは不自然だ。
この人はどんなことを考えているんだろう。
なぜ、こんなにも強く在れるのだろう。
そう思いながら歩いていると、Cブロックと書かれたテントが目に入った。
その前には避難民の人々が列をなしている。その先に目をやると、隊員が食糧の配給をしているらしい。昼時であるし、列に並ぶ子供がお腹空いた、と母親に言っているのが聞こえる。
「またパンだけなの? お菓子食べたい!」
子供がわがままを言い、母親はそれをなんとか宥めすかしている。
「パンだけ……って、本当ですか」
思わずディヒトバイに確かめてしまう。避難生活でパンだけ、というのはあまりに寂しい食糧事情だ。
「栄養面じゃ問題ねえ。ドーム内の市民も同じもんを我慢して食ってる」
「で、でもパンだけって……。おかずとかないんですか」
「……まともに飯が食えるのは軍人だけだ。飯は士気に関わるからな。食糧生産もギリギリだ。ドーム内の市民に加えて避難民を食わせるには生産ラインを一つに絞るしかねえんだよ。他のもんを作ってる余裕はねえ」
自分だって歴史の授業で戦時中の食糧事情は厳しかったと習ったが、ここでも同じようなことが起こっているとは。
なんでこんな世界に転生してきたのだろう。
漫画や小説では、神様から特別な力をもらって剣と魔法の世界に転生して、そこで大活躍するものなのに。
それがフィクションであるとはわかってはいるものの、どうして自分がこんな目に、という気持ちを抱いてしまう。
配給の列を避けてテントに向かう。
ここにも資材が置かれており、見れば食料品、薬品、日用品、毛布などが積まれている。
そのテントの中に入ると、丁度昼休み中だったのか隊員が昼食をとっているところだった。
ディヒトバイは帽子を取って乱れた髪を整える。
「あれ、教官! なんでこんなところに……」
着くなりこちらに気付いた青年の声がした。
その声がテントの中に響き渡ると、全員が食事の手を止めて直立不動で敬礼をした。
「いい、俺に構わず飯を食っててくれ」
ディヒトバイが言うと皆が座って食事を再開する。
そう言ってディヒトバイは先の青年のほうに歩いて行った。
青年は食事が終わり、アルミのコップで茶を飲んでいるところだった。
茶色の波打った髪を後ろで束ね、目つきは鋭い三白眼だ。
「教官、なんです、そのデカいのは?」
茶髪の青年は俺を見るなりディヒトバイに尋ねた。
「おい、そんな言い方ないだろ」
そう言ったのは、茶髪の青年の隣に座っていた金髪の青年だ。
金髪の青年が嗜めるも、茶髪の青年には響いていないようだった。
「こいつは千樫。鹿島千樫だ。お前らの班に入れてやってくれ」
「はぁ⁉ 何を突然……」
茶髪の青年が声を荒げる。
「こいつはレオニード・ゴルトシュテイン。性根は荒いが悪い奴じゃない」
そう言ってディヒトバイは茶髪の青年の紹介をし始めた。
「こっちの金髪が幸徳井兼景。お前と同じ転生者だ。同じ立場同士、わかることもあるだろ。面倒見てやってくれ」
兼景は失礼にならない程度にこちらを見ている。
「教官の命令なら逆らう理由はありません。教官の言う通り、同じ転生者ならやりやすいでしょ」
そう言って兼景は頷いた。
「今日は配給だろ。ならこいつにも手伝える。よく使え」
「了解です。やっと俺にも後輩ができたか」
言って兼景は笑ってみせた。少なくとも敵意を見せることはしないらしい。
「なんで教官がこいつなんか連れてくるんですか?」
レオニードが不満そうにディヒトバイに尋ねる。それはそうだ。何でもない人間ならそこらの下っ端が連れてくればいいだけの話だ。それをわざわざディヒトバイが連れてくるとは、何かの事情があると察するだろう。
しかし、彼らも知らないのだ。
ディヒトバイが悪魔に体を作り変えられ、Ωになったこと。精液がないと生きられない体になったことは。
「……昨日魔族に襲われたところを助けてやったんだ。それに、転生者としてちょっと変わった体質をしてて検査した。そこに俺も居合わせたんで、特研帰りのついでだ」
ディヒトバイは眉一つ動かすことなく嘘を言った。
嘘をつくのに抵抗はあったが、ディヒトバイの事情についてはトップシークレットである。たとえ部下とて喋るわけにはいかないだろう。
「……そうですか。チカシ、とか言ったな。足手纏いになるなよ」
レオニードは言って俺を睨みつけた。
「そんな言い草はないだろ、レオ」
またも兼景がレオニードを嗜める。正直すぎるレオニードに、それに待ったをかける兼景。この二人はこういう関係なのだろう。
「こいつの住む部屋も宿舎じゃねえが、それ以外の行動はお前らと一緒だ。今まで一般人だったんでな、少しは加減してくれよ」
「……了解でっす」
「了解しました」
レオニードは不満そうに、兼景は喜んで答えた。
「あと、勘定違いで置いてかれた抑制剤だ」
言ってディヒトバイは俺の持っている段ボールを指した。
「助かります。数が足りなくて取りに行かせようかと思ってたところで」
兼景は俺の手から段ボールを取り、地面に置いた。
「抑制剤って、発情期を抑える抑制剤のことですか?」
「なんだ、そんなことも知らねえのか。これだから転生者は……」
俺が尋ねると、レオニードが呆れるように言った。
「誰だって最初は何も知らねえところからだろ。俺だって知らなかったんだぞ」
すぐさま兼景がフォローを入れてくれた。兼景は気配りのできる人間のようで、安心できる。レオニードは裏表がないのだろうが、直球な言い方は少し怖い。
「抑制剤には二種類あってな。錠剤と注射器の二つがある。発情期は定期的に来るから、その時期に合わせて錠剤を飲む。その錠剤が手元にないときとか、急に発情期がきたときなんかに、すぐに効くこの注射器型を使うんだ。Ωは大体持ち歩いてるし、大抵の施設にも常備してある」
言いながら兼景は段ボールの封を開け、錠剤と中から袋に包まれたプラ製の注射器を取り出して見せてくれた。
「注射器の割には針がないですね」
兼景の持っている注射器はプラ製のボールペンみたいなもので、注射針が見当たらない。
「どこでもいいから、こうやって強く押し付けると針が飛び出て薬が注入される。素人でも扱える。お前も使うかもしれないから覚えておくといい。ついでに何個か持っとけ」
兼景はそう言って注射器を三本取り出して俺に渡した。俺はおずおずと受け取る。
「この避難民キャンプはなるべくΩを隔離してるが、何分場所がないんでな。隔離といっても薄い壁一枚、なんてこともあるんだ。Ωの発情期でどうしようもなくなるαもいるからな」
「わ、わかりました」
もらった注射器を壊さないよう大切にポケットに入れる。これは非常時の備えなのだ。そう思うと気が引き締まる。
すると、突然学校のようにスピーカーからチャイムの音が鳴り響いた。
「昼も終わりだな。午後は日用品の配布と、必要なもんの聞き取りだ。よし、お前も行くぞ」
兼景はそう言って立ち上がった。
「はい。兼景さん」
「足りなかった抑制剤も届けに行かないとな。教官はどうします?」
言って兼景はディヒトバイに問うた。
「……少し手伝っていいか。千樫もこっちに来たばかりだし、右も左もわからねえからな」
「なんです教官、やけに過保護じゃないですか」
レオニードがそう言って噛みついた。
「心配なだけだ。何とでも言え」
そう言われると何も言い返せないのか、レオニードは黙ってしまった。
「わかりましたよ。じゃあ、俺は外で待ってますから」
形だけの敬語を使ってレオニードは返事をし、段ボールに入った抑制剤の小箱を手に取るとテントを出ていってしまった。
「今日のあいつ、変じゃないか」
ディヒトバイはさっぱりわからないと兼景に尋ねる。
「教官が新入りを構うから拗ねてんですよ。男の嫉妬は醜いねぇ」
「嫉妬? なんでだ」
「レオは教官に憧れすぎてんですよ。教官に目をかけられて直属の部下にさせてもらって、特別班になっていい思いをしてたのに、突然知らねえ奴を班に入れてくれ、面倒を頼むって言われたらいい思いはしませんわな。自分だってもっと教官と一緒にいたいのにぃ、って」
大袈裟に兼景は言ってのけた。
「お前は平気なのか」
「俺は新人いびりなんてしませんよ。ちゃんと後輩の面倒見ますから安心してくださいって。なあ、千樫?」
「え、あ、はい、よろしくお願いします……」
突然話を振られたもので、慌ててそんなことしか言えなかった。
「鹿島ってあの鹿島明神の鹿島だろ? 扶桑からの転生者か? 俺は扶桑からこっちに来たんだ」
「いえ、日本というところで……」
「日本? こっちでいう秋津みたいなもんか? 似てる国ってのはどこの世界にもあるんだなぁ。あとで色々話聞かせてくれよ」
言いながら兼景は手早く抑制剤を運ぶ準備を済ませる。
「じゃ、まずはΩ区画に抑制剤を届けないとな。数が足りなくて困ってるだろ。教官も手伝ってください。ところで……」
「なんだ?」
兼景は物言いたげにディヒトバイのほうを見た。
「なんですか、その帽子は……。軍本部から出ちゃいけないって命令でしょうに。顔がばれたら大変な騒ぎになりますよ」
「目深に被ってればいいだろ」
そう言ってディヒトバイは手に持った帽子を深く被る。
「そりゃ普通の人ならそうかもしれませんが、教官はとんでもない有名人なんですよ。教官の顔を知らない人間なんかいません」
「そうか?」
ディヒトバイはいまいちピンときていない様子である。それに兼景は複雑そうな顔を見せた。明らかにディヒトバイの言い分は違うのだが、立場が下なだけに強く出られない、といった感情が顔に出ている。
「物を配るくらいだったら俺にもできます。ディヒトさんはここで待ってもらって……」
そう言いかけた瞬間だった。
若い男の悲鳴が聞こえ、テントの外がどよめいている。
慌てて外に出ると、避難民が隊員を見るなり声をかけた。
「Ωが襲われてる! あっちだ!」
指差されたほうにディヒトバイと兼景、テントの外で待っていたレオニードが走っていく。その後を俺も着いていく。
とある仮設テントの前が人でごった返していた。
中からはさっきの若い男の抵抗する声が聞こえる。
「まずいな……」
兼景が苦い顔をして言った。
「突然発情期になって抑制剤が間に合わなかったんだろうが、下手に近付くと俺らだってフェロモンでやられちまう。迂闊に手は出せねえ。でも誰かが止めるか、抑制剤を打つかしねえと……」
「ちょっと、教官⁉」
兼景が言っている間に、レオニードが戸惑いの声を上げる。
テントの中にディヒトバイが入っていったのだ。
「何すんだ、よっ……!」
男の抵抗する声がし、やがてテントの入口から筋骨隆々とした男が放り出された。そしてディヒトバイも出てきて男を組み敷いて腕を拘束する。男が本能のままに全力で抗いディヒトバイの帽子が脱げて地面に落ちる。
あっという間の出来事だった。
「こいつの頭が冷えるまで隔離しとけ。中の奴には抑制剤を打たせた。もう平気だ」
そう告げられ、不安そうに成り行きを見守っていた避難民の仲間がテントの中に入っていく。中からは男のすすり泣く声が聞こえた。
突然見知らぬ男に襲われたのだ。無理もない。
こうした理不尽を受けるのがΩなのだろう。
「この男は俺たちがやります、教官は戻って……」
言ってレオニードと兼景が代わりに男を取り押さえたときだった。
立ち上がったディヒトバイに避難民の視線が集まる。
「どうして、あんたがこんな場所にいるんだ」
一人の男が口を開いた。それを皮切りに次々と避難民が騒ぎ立てる。
「なんで私たちの街を守ってくれなかったの⁉ どうして悪魔を倒してくれなかったの!」
「お前が悪魔を倒せば、俺たちはこんなひどい目に遭う必要はなかったんだ!」
「こんなところにいないで、早く悪魔を倒しに行け!」
口々にディヒトバイを罵る言葉が放たれる。
「何が人類最強の英雄だ! 俺たちを守らなかったくせに!」
そう言って一人が石を投げた。
ディヒトバイはそれを避けずに受け止める。こめかみに当たって血が滲んだ。
「教官、早く本部まで戻って下さい!」
他の隊員がディヒトバイを守るように囲む。
俺は咄嗟にディヒトバイの手を取って、わずかに開いた隙間から抜け出してこの場から逃げる。
その手は心なしか冷たかった。
人類最強の英雄。
その肩書きの重さを知った瞬間だった。
ともだちにシェアしよう!