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第39話 ディアボラ

 ディアボラは、円(まどか)興行、という会社がやっていた。円城寺が社長だった。 表向き、会社組織にしてヤクザのフロント企業に利用されていた。  最初は名義貸しだけのつもりだった。しかしホストクラブが思わぬ人気になり、テレビの取材なども受けて、美形のホストを揃えているのが、話題になった事で、反社の締め付けが厳しくなった。名義の利用だけでなく、搾り取れると踏んだのだろう、しつこく経営に口を出してくる。元は組関係の暴力団だった連中だ。  一時はレオンたちにもアイドル並みのファンがついて、店の外に出待ちの列が出来た。みんな若い女の子ばかりで、18才未満も多く、店には入れなかったから、花束やぬいぐるみ、お菓子などのプレゼントが山ほど届いた。そんな開店当時の逸話も残されている。今は見る影もないが。  この度、心機一転、円興行は名前を変えてCERCLE(セルクル)という社名になった。円城寺の円をフランス語にした訳だ。円城寺は雇われだが一応社長だ。  上条ホールディングスと菫ちゃん個人が半分ずつ株を持つ。菫ちゃんはディアボラのオーナーだが、表には出ない。社長の円城寺が、今までと同じようにディアボラを仕切る。代表権のない雇われ社長だが、誰にもわからないから、円城寺の顔は潰れずに済んだ。  円城寺は以前のような散漫な経営は出来ないが、社長としての矜持は保たれた。  円城寺自身危惧しているのは,今までいい顔をして来た反社との繋がりだった。  ディアボラが新装開店と銘打ってパーティを開いた。六本木一を目指す。派手な事の好きな円城寺は張り切っている。菫ちゃんの顔もあって、新装開店初日は大盛況だった。ロジャー先生も、在学していた事のある円城寺を応援してくれた。 小鉄の提案で、ハジメと傑もロジと相談して、初日だけだが、なんと、ミトとタカとレオンとジョーちゃんを手伝いによこすことにしたからもう大騒ぎになった。    

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