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第38話 傑と礼於

「楽しかったね。」 「ああ、後半は楽しかった。 最初はどうなることかと心配だったが、 菫ちゃんの一人勝ちだね。」 「ボクは傑がいて幸せだ。 今日の傑のスーツ姿は反則だ、素敵すぎる!」  スーツの上着を脱いでいると抱きついてくる。 「礼於はワイシャツが好きなのか?」 「うん、なんかワイシャツ脱がせるの好き。」 「じゃ、脱がせて。ここにおいで。」  傑に抱きついて匂いを嗅ぐ。 「いい匂い。傑の匂い。タバコの匂いも好き。」 「可愛いな。ホストの顔をした、礼於もカッコ良かったよ。」 「ボク気になる事があるんだ。」  傑の胸で甘えながらも、礼於は何か言いたそうだ。手を握って離さない。 「そうだね、これで一件落着とはいかないだろう。円城寺さんの事か?」 「円城寺さん1人の事なら放っておけばいいんだけど、淳や零士の事を考えると、円城寺さんと反社との繋がりが気になる。怖いよ。」 「そうか、何事もなければいいが。 藤尾さんもいるし、きっと大丈夫だよ。」  礼於の頬を撫でながら、傑も一抹の不安を感じていた。  反社とヤクザを分けているが、明確な違いがある訳ではない。  昔気質のヤクザ者の存在なんて映画の中だけだ。スジの通らない奴ばかりだ。  みんな楽な方へ行くに決まってる。

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