38 / 200
第38話 傑と礼於
「楽しかったね。」
「ああ、後半は楽しかった。
最初はどうなることかと心配だったが、
菫ちゃんの一人勝ちだね。」
「ボクは傑がいて幸せだ。
今日の傑のスーツ姿は反則だ、素敵すぎる!」
スーツの上着を脱いでいると抱きついてくる。
「礼於はワイシャツが好きなのか?」
「うん、なんかワイシャツ脱がせるの好き。」
「じゃ、脱がせて。ここにおいで。」
傑に抱きついて匂いを嗅ぐ。
「いい匂い。傑の匂い。タバコの匂いも好き。」
「可愛いな。ホストの顔をした、礼於もカッコ良かったよ。」
「ボク気になる事があるんだ。」
傑の胸で甘えながらも、礼於は何か言いたそうだ。手を握って離さない。
「そうだね、これで一件落着とはいかないだろう。円城寺さんの事か?」
「円城寺さん1人の事なら放っておけばいいんだけど、淳や零士の事を考えると、円城寺さんと反社との繋がりが気になる。怖いよ。」
「そうか、何事もなければいいが。
藤尾さんもいるし、きっと大丈夫だよ。」
礼於の頬を撫でながら、傑も一抹の不安を感じていた。
反社とヤクザを分けているが、明確な違いがある訳ではない。
昔気質のヤクザ者の存在なんて映画の中だけだ。スジの通らない奴ばかりだ。
みんな楽な方へ行くに決まってる。
ともだちにシェアしよう!