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第41話 円城寺
以前、円城寺の甘さで反社の組関係者が我が物顔でディアボラに出入りし始めた頃の事だ。
意地汚い酒の飲み方で酔っ払い、偉そうにすぐに暴力を振るうチンピラが、その日も、このタレント志望のホストの一人を生意気だ、と殴り始めた。ホストはただひたすら謝って
「ひぃー、顔は殴らないで。」
その声に、余計にカッとなった相手に
「なんだとぉ!イケメンだと思って調子に乗りやがって!顔は命、か?
お前らなんか他に何にも取り柄は無いんだよな。」
そう言って顔ばかり狙って殴られた。
円城寺が止めに入って、一緒に殴られた。なぐられながら、
「すいません,すいません、ホストには手を出さないでやってください。」
ホストをかばって土下座して謝った。その頭を靴で踏みつけにされても謝り続けていた。
後でタレントホスト達が
「何だよ、あんな奴、殴り返せないのかよ。
円城寺さん、大した事ないな。」
そんな事を言っている。零士が
「ばか、違うよ。おまえ達を守るためだよ。」
「逆らったら、奴ら何するかわかんないだろ。」
「ああ言う輩はしつこいし、暴力は慣れてんだよ。殺される事だってあるかもしれない。
人、一人くらい殺しても始末も慣れたものだよ、きっと。」
「そうだな、身体張って俺たちを守ろうとしてくれたもんな。」
その時のタレント志望のホストは、辞めないで今もディアボラにいる。
「円城寺さんってそういう所あるよな。」
「頼りないようで結構打たれ強い。」
「そうそう。」
円城寺自身、危惧しているのは自分の交友関係だ。交友といっても半ば恐喝まがいの関係だった。カッコつけたがる、円城寺の弱みに付け込んで巧妙に取り入って来た連中だった。
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