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第173話 友也

 ロジの家に久しぶりに友也から連絡が来た。友也はいずみちゃんと結婚して一児の父親になっている。サー・リチャーズ商会の立派な営業マンだ。 「こんにちは、今日はリチャーズ商会からお願いがあって来ました。  先日、企画会議で、またポスターを作りたい、という声が多く出ました。僕もお客さんから度々言われるのです。  ミトはダメですか?また、騒がれるのはイヤですよね。」 ミトは一つアイデアがあった。 「ロジ、僕、礼於とだったらやりたい。」 「そうか、でも、礼於に聞いてみないと、な。 傑にも了解をもらわないと。  白薔薇さん達からも要請が来てるな。」 小鉄の事務所を通して、という事で終わった。 友也が帰って 「なんか友也カッコいいね。社会人って感じ。」 「彼も子供が出来たから頑張らないと。」  案の定、ミトは落ち込んでいる。 「またかい?ミト、私は子供は好きだけど、自分の子はいらないんだ。考えただけでゾッとするよ。他所の子供を見ているだけでいいんだ。」 いつも子供の事になるとミトは泣いてしまう。 愛しいミト。 「おいで、ミトが私の子供だ。 こんな愛しい子供なんて他にいないだろ。」 「子供だったらセックス出来ないよ。 じゃあ、僕に触らないで。」 ロジが悲しそうな顔をする。ミトは抱きついて 「ごめんなさい、セックスしたいです。ロジの子供でいるより恋人でいたい。僕だけでいいの? 寂しくない?」 顔を近づけて聞く。 「もちろんだ。世界中にいる人間全部より ミト一人が欲しいよ。他に家族なんていらないんだ。」  もう何回聞いても、また確かめてしまう。自分に出来ない事を欲しがっても仕方ないのに。

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