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第183話 ロジとミト
ロジは、自分がミトの可能性の芽を摘んでいる事に、今更ながら気が付いた。
自由にさせて来たつもりだった。ハジメを追いかけてインドまで行った時も、寛大に許したのだ。ロジはずっとプレイボーイと言われて来た。
バイセクシャルで、男も女も、来るものは拒まず、だったから、唯一の結婚も、妻になった人が耐えられなかったようだ。
特定の誰かに縛られたくない。そのセクシーな魅力に、いつも恋の噂が絶えなかった。
性的魅力に加えて、そのテクニック、その経験、その美貌、その巨根、その名声、その財産。
全身からセックスが、溢れている。誰もが夢中になる男、だった。
あまりにもモテるので、本人は食傷気味だった。美男美女に飽きていた。
デカダンスを気取っている訳ではないが、どこか冷めた風情がまた、モテる一因になった。
まだ、尊と出会う前の沼田レイモンと妙に気が合って、セックス抜きの友人になっていた。
レイモンとロジャー、二人揃うと近寄りがたい、、冷酷な雰囲気が漂う。それがまた、魅力になっていた。
「ロジャーに本気になっちゃダメ。
抱いてもらうだけでいいの。」
そんな相手に事欠かない。
遊び人ロジャーを一変させたのは、ミトだった。
昔の,ロジを知る人は皆、驚く。全く夜遊びをしなくなった。
ミトがハジメを追いかけてインドに行っている間も、ロジは誰とも寝なかった。自分の研究に没頭した。
周りの人間は驚いていた。そしてハジメを受け入れて3人で暮らした。
ロジにはミトが全て、なのだ。それがミトには
「飼われている。」という思いになっていたとは!
どうしたらミトを幸せに出来るだろう。必ず帰って来るのなら、いつまででも待とう。ミトを縛るつもりはない。でも、手放したくない。
この所ずっとロジを悩ませているこの思い。ミトは無邪気に擦り寄って愛を強請る。
今日も書斎に来て膝に乗る。
「ロジ、僕の事を忘れてるでしょ。なんか冷たい。飼われてる、なんて変な事言ってごめんなさい。愛してるよ。」
(なんて可愛いんだ。魔性のミト。
時には天使、時には悪魔。)
その唇を貪る事しか出来ない。
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