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第182話 ロジの書斎
ロジが書斎に、こもっている。いつも仕事中だってミトは自由に書斎に出入りする。書斎に行けば、執筆途中でも、キーボードから手を離して
ミトを抱いて熱い口づけをくれる。
「ロジ、お仕事中なの?」
「ああ、ミト。大丈夫だよ。
ちょっと考え事をしていた。」
ミトを抱いてカウチに座り直す。
「ミトは私との暮らしに飽きたかい?」
「えっ、そんな事ないよ。ロジがそう思うのは僕のせい?僕、悪い事言ったね。ごめんなさい。」
好きなように暮らしている。そもそもミトは、読書以外に趣味がない。
星を見たり、海を見たり、そして関連の書籍を漁る。この頃ロジが通販のやり方を教えてくれたので、ロジのカードを使って、ネットで見つけた本を注文する。
それ以外にはネットに興味はない。SNSなどは全く関わらない。ネットに友達もいない。 ロジは仕事柄、献本の類いも多く、家中本で溢れかえっている。
ミトは初めてロジの家に来た時から、その本を喜んで読み漁っていた。
「本を読むのが僕の学校だったんだ。
不登校の引きこもりで、中学校もろくに行ってない。勉強は好きだけど。
ウチのお母さんの所にも本が届いていた。新刊が出ると贈呈って書かれて届く。嬉しくて一生懸命、読んだんだ。」
「ミトのお母さんに、だとR18の本も多かっただろう。ミトは耳年増だね。経験は無いのに何でも良く知っている。」
「なんか、恥ずかしいな。」
ミトの母親は『青木みと』の名で
かなりハードなベッド小説家なのだ。
ロジの所に送られて来る本は、難しい学術書が多い。タイプが違うので読むのが新鮮だ。
難しい所は、ロジ教授がマンツーマンで教えてくれるのだ。こんな幸せな事はない。
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