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第3話

「ん? カル様へって……何だこれ?」  夜中までパソコンに張り付いていると、親に買い与えてもらった頃からよくやり取りしていて、緊張して未だ通話こそしたことがないものの、勝手に仲が良いと思っているオカルト仲間の「シャルル」と名乗る人物からメールがあった。  ちなみに俺の「カル」というのはオカルト界隈で使っているハンドルネームだ。  ハートマークの「ハート」を、古代ギリシャ語とアラビア語からそれぞれ取った。  その辺も厨二臭いが、ずっと使っているんだから愛着が湧いて今さら変えられない。  何でもシャルルが言うには、俺が調べている催眠療法について良いスマホアプリを見つけたらしく、本当に効果があるのかどうか俺に実践してみてほしいと。  って、どうせインストールしたが最後、ハックされる怪しいウイルスソフトだろ……。 「なになに……そういうんじゃなくマジで催眠スイッチオンオフできる? はぁ? そんなんあったら、不潔ニートのキモオタでもアイドルと結婚できますよーだ。……待てよ? 政府の超強引な少子高齢化解消の陰謀か? 誰でもいいからくっ付かせて出産させて、ジジイババアは早く死ぬよう仕向けるとか? うわ闇〜! ヤバッ、世も末じゃね?」  などと、モニター越しに顔が見えないのを良いことに、俺はブツブツ陰謀論さえ持ち出してぼやく。  ただ、アプリの開発者を調べてみると、れっきとした海外の心理学者チームのようだ。まだ試験段階の為、口コミなど有益な情報は全くないけれど。  シャルルの奴、同じくオカルト好きとはいえ、こんなのどこで見つけたんだ……よっぽど必死で調べたか、そっち方面のコネでもないと無理な情報じゃないか?

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