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第14話

 念の為催眠アプリはオフにしておいたものの、結局慧がどうなっているのかわからない。  翌日の昼食時の校舎裏、慧から呼び出されたかと思ったら、慧の俺への態度が丸っきり変わってしまっていた。  昨日の情事を覚えていて表沙汰にされそうになったら……どやされたら……と自分がしたのに今さら怖々としていた俺に、むしろ慧はどこか態度こそ他人行儀だった。 「悠太……変なことを聞いてもいいだろうか」  まず、アプリをオンにしていないのに俺のことを下の名で呼んでいる。  そうするよう命令したからだろうか。なら、俺達の関係も……。 「僕は覚えていないんだが……その……き、昨日から、あそこが……痛くて……」 「あ、あそこ、って?」 「だから……えっと……こ、ここが……」  口にするのも憚られるのか、尻をさすってみせた。 「君……僕に何かしたか? ああいや、疑っている訳ではないが、も、もし万が一にでも何かの流れで間違いが起きたということも……」  まさか犯されたと気付いている? いや、普通は異変に気付くか。  外出しだったし、ちゃんと掃除も衣服も直したが、初めて尻穴に規格外の大きさのものを挿れられたのだ。催眠時はよがっていても、後で痛くなってもおかしくない。  しかし明確にセックスしたという記憶はないときた……これは利用する他ない。 「……間違いって……? なんで覚えてないの……? 橘花さんから襲って来たのに……」 「えっ……?」 「お、俺抵抗したのに、橘花さんの力が強くて催眠解けなくて……童貞だったのに……!」 「……な……にわかには信じ難いが……僕がそんな……」 「普段は名字呼びだったのに、悠太って下の名前で何度も呼んでて、俺のこと好きっていきなり言われて、もう訳わかんなくて……まさかあんなことになるなんて……催眠なんて試してみなきゃ良かった……うぅっ」  と、逆レイプに遭ったお可哀想な親友という立場にすり替えた。  声を震わせて今にも泣きそうにしてみせると、慧は見たことがないくらい目を泳がせて動揺していた。いったいどうしたらいいか、頭が良い慧ですら答えが出ない。 「す、すまない。……謝って許されることではないとは重々承知だが……本当に記憶が、ないんだ……。悠太……本当に、すまない……」 「じゃあ責任取ってよ!!」 「それは……できることは、も、もちろん……」  ひたすら頭すら下げて謝罪する慧に怒鳴り付ける。 「……今まで通り親友でいて。俺の味方は慧しかいないから…………許すよ」  慧は驚きはしたものの、肩の強張りを弛緩させて安堵したようだった。  むしろ、そんな慈悲深い俺に感謝さえしているに違いない。 「……僕は、潜在意識では君のことを……性的な目で見ていた、ようだ……。なのに……嫌いにならないでくれてありがとう」  あくまで今は慧が加害者側。尻なんかよりさぞかし良心がズキズキ痛んでいるだろう。  恥ずかしそうに呟いて、礼まで言われる始末。  ああ、これで思う存分催眠セックスできる。彼を独り占めできる。  そう思い、心の中でほくそ笑んだ。

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