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第50話(最終話)
って、もしかしたらライターとしても有名になっちゃったら顔も本名も、経歴とか載るよね?
それはご勘弁すぎるから細々やっていきたかったんだけど……慧という強力すぎる味方がいたらたちまち忙しくなってしまいそうで……。
怖いというかまだ心の準備できてない! 慧みたいに一貫した男じゃないから! ほんとヘタレだから俺!
視線を落としてしまった俺に、逆に踏み込みすぎてしまったと察したか、やっぱり愛する慧は情に満ち溢れていて。
「時間ならいくらでもあるからいいんだ……それに、たまにはその、催眠をかけてくれないか? 記憶がないのが玉に瑕だが、悠太が満足するほど僕は淫乱になるんだろう?」
「え……いや……で、でも……」
「記憶がないぶん、正気では恥ずかしくて絶対したくないようなどんな無謀でエッチな命令でも聞くのに? それを記録して後で僕にも送ってくれたら……僕もそれをオカズにするのに?」
耳元で囁かれながら、そろりとようやく収まったばかりの股間をなぞられると、背が震え上がる。また勃起しそうになる。
慧、お前は自分の無意識の色気を自覚しろ!
◆
──六年後。
九重家と橘花家に、相も変わらずエリートの風格を纏っている研修医と、その元で引っ付くようにしてネタを探っている垢抜けた出版社勤務の青年が「幼い頃からの友人」として双方の両親に紹介しているのを、近隣住民が見たとか、見なかったとか。
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