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第43話 番外編 陽だまりの中で

「あお君、おはよう」 「おはよう……って、もうおはようって時間じゃないね」 「そうだね、もう昼過ぎてるよ。でも、新婚旅行なんだから、これが醍醐味だよ」 「ふふっ、そうだね」  体は幾分気怠さが残るが、それさえ幸せに思う。愛する人と二人の心地よさ。心から幸せと思える。 「凄く幸せだった。旅行をプレゼントしてくれた父さんたちには感謝だよ」  新婚旅行は是非バリ島へ行けと、両親がプレゼントしてくれた。自分達も新婚旅行で行って思い出深い地だからと。 「うん、ほんとに感謝だね。幸せだった」 「これからも幸せは続く、ずーっと幸せでいられるよ」  蒼は深く頷いた。旅は最高に幸せだった。帰国すれば日常に戻る。しかし、それで夢が醒めるわけではない。日常でこそ、愛する人と一緒にいられることが幸せなんだと思う。  それは彰久も同じだ。身近にいつも蒼がいる。それが最高の幸せ。 「お帰り~! 顔を見るだけで分かるなあ、良かったんだろ」 「はい、最高でした! 本当にありがとうございました」 「僕からも、ありがとうございました。最高のプレゼントになりました」  感謝の思いを込めて二人で、両親に頭を下げる。そして、一緒に選んだお土産を渡す。 「うわー! 可愛いなあ! 僕も猫が可愛くて買って来たけど、これも可愛いなあ」 「同じ猫と思ったけど、うちにある猫とはまた違った可愛いさがあると思って……」 「ああいいよ、並べてかざるな」 「そしてこのグラスは、父さんたちペアで使ってください」 「これもいいなあ。色合いが凄くいい!」 「そうだな、早速使わせてもらおう」  そして結惟には、バティックのドレス。可愛いらしい花柄が結惟に似合うだろうと思い選んだ。 「うわーっ! 素敵!」結惟は早速広げて当ててみる。 「おっ! 結惟似合うよ、凄く素敵だ!」  皆が口々に褒める。選んだ蒼もほっとする。無論彰久も一緒に選んでくれたが、真剣みは蒼の方が強かった。皆へのお土産は、感謝への気持ちを込めて選んだのだった。それを皆喜んでもらえたのは心から嬉しい。改めて今の自分の幸せに感謝の思いを持った。 朝の心地よい目覚め。  眼を開くと彰久と目が合う。結婚してからいつもそうだ。目覚めると必ず彰久と目が合う。いったいいつから自分を見ているのだろう。その疑問を口にすると、彰久は甘く微笑みながら応えた。 「ずーっとだよ。言っただろ、僕はあお君しか見てないって」  その言葉が嬉しくて蒼は、彰久の胸に顔を埋める。いくらなんでも、彰久だって寝ているはずだし、ずーっと見ているわけじゃないが、今の蒼にはそんなことどうでもいい。彰久が言うならそうなのだ。  蒼の方が十二も年上。しかも元々は教育係的存在。しかし、今の二人はアルファとオメガの関係だった。彰久がアルファとして、オメガの蒼を守る。蒼は守られる心地よさを知った。

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