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第27話 ユイちゃんの分

翌日、ハルマは委員会が長引いて、俺とタツオミだけが先に勉強会に来ていた。 部屋は、お兄さんの仕事のものが置いてあったので、タツオミの部屋でやることにした。 タツオミやお兄さんの問題集や参考書が本棚に詰まっていて、使いたいものがあれば借りていいと言われた。 カーペットに座って本棚を見あげる。 小学生用から大学受験まで網羅されていて、もう本屋のコーナーばりの迫力だ。 タツオミも横に座り、俺に必要そうなものを見繕って出して、特徴を説明してくれる。 一通り決まったので、気になったことを聞いてみた。 「昨日、突然でごめんね。でも、二人とも、喜んでたよ。」 タツオミのご機嫌をうかがう。 「あ、ああ。それなら良かった。あんまり、ユイちゃん、わかってなさそうだったから……。」 「ユイちゃんは、私大文系だから、数学は評定のためだけなんだ。」 「そっか。それならいいけど……。」 タツオミは浮かない顔だ。 「何かあったの?」 「あ、うん。わからないところを聞きたいからって、メッセージ交換したんだけど……。結構やりとりが長くてさ。時間とられるな……って。」 そうだった。 タツオミは女の子から時間を取られるのが嫌だったんだ。 「ご、ごめんね。ユイちゃん、いい子なんだけど。」 「別に、リョウスケが謝ることじゃないよ。まあ、何か言われたら、あまり俺は連絡マメじゃないって、言っててもらえるかな。」 「わかったよ……。」 なんかユイちゃんにも悪いことをした。 でも、ユイちゃんくらい積極的なら、タツオミがダメでもすぐ次に行きそうだ。 にしても、あの華やかな勉強会の感じは惜しかった。 ユイちゃんがダメでも、カナンちゃんくらいはそのまま残ってくれないかな……。 なんて思っていた。 でも、主催が……ねぇ。 タツオミをチラッと見る。 「どうしたの?」 「あ、いや……。次回もユイちゃんが来たいって言ったら迷惑……?」 「うーん……。」 タツオミはしばし考えている。 「人脈的に考えるなら、ユイちゃんみたいなアクティブな女の子ってさ、これから活躍すると思うんだよね。友達多いし、リーダータイプだし。」 それっぽく言ってみる。 「リョウスケは、一緒に勉強したいんだね。」 「あ、うん。まあ……平たく言うと、俺、おっぱいが大きい子が好きなんだ。だからね、目の保養にはすごくいいよ……。」 今更何の説得力もないが、女好き、おっぱい好きをアピールしてみる。 不純な動機で、タツオミに呆れられるかもしれない。 が、そもそもコレが本来のオレなのだ。 「ふーん。じゃあ、リョウスケ次第だね。」 「俺次第?」 タツオミに腕を引っ張られ、キスをされる。 「あっ……んぐ……!」 そうだった、忘れていた。 キスまではOKだったのだ。 思わずビビッたが、約束通り、大人しくタツオミとキスをする。 ユイちゃんのアプローチは全く効かなかったようだ。 今度は押し倒され、タツオミは俺の下半身を触ってきた。 「あ!ちょ、ちょっと……!」 「股間くらい、友達同士でも触るでしょ?」 「いや!その触り方はないっ!」 タツオミの手を払いのけるが、そのまま手首を掴まれる。 「これはね、昨日のユイちゃんへの指導分だよ。」 タツオミがにっこり笑って言った。 「……ユイちゃんの指導分まで……俺が体で払うってこと?」 「そういうこと。」 なんてことだ。

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