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第31話 公園

勉強会部屋に戻ろうとすると、ハルマが勉強道具をしまっていた。 「……ごめん。俺、今日は帰る。」 「ハルマ……!」 ハルマは出て行ってしまった。 「……タツオミ、どういうつもりだよ!ハルマに見られたら……。」 「まさか、部屋に来るとは思ってなくて。」 タツオミは笑っている。 「笑ってる場合じゃないから!」 「リョウスケがユイちゃんと浮気なんかするからだよ。」 「……浮気じゃないし……。」 「それは無理があるだろ。」 「……俺だって、女の子とも遊びたい。」 「それは知らないけど、ハルマを満足させないままじゃそりゃ不機嫌になるよ。」 確かに最近、ハルマとの時間は少なかった。 「……俺も、帰るね……。」 よろよろしながら、片付ける。 「ハルマに振られたら、俺に乗り換えればいいよ。」 「悪魔みたいなタツオミとはごめんだよ。」 半泣きで家を出た。 ―――――――――――― ハルマにメッセージを送ったが、無視された。 何をやってるんだろ、俺。 ユイちゃんに断りのメッセージを入れる。 ユイちゃんのことは、やっぱりその程度なのだ。 ハルマからしたら、タツオミのことで怒ってるんだろう。 体勢からしたら、俺が迫ってるみたいだし。 誤解を解きたい。 夜だったが、ハルマの家まで行った。 親も帰って来てるようだ。 電話をかけてみる。 ハルマが電話に出た。 「あ……俺だけど……。」 『うん……。』 「今、ハルマの家の近くまで来てるんだ……。会えないかな……。」 『……わかった、今行くよ。』 ハルマが出て来た。 近くの公園に行く。 二人でベンチに座った。 「あのさ……。全部、正直に話すよ……。」 「……うん……。」 「ユイちゃんに、映画誘われてたんだ、週末。でも、それは、断ったから!あのさ、俺、まだ女の子には興味があって……。ごめん、フラフラしてて……。」 「うん……そうだよね。普通、そうだよね……。」 ハルマはじっと地面を見ている。 「タツオミのことはさ……。ユイちゃんのことをハルマに言ってほしくなかったら、キスしてほしい、って言われたんだ。たぶん!冗談だけど!」 ちょっとだけ違うけど、俺がタツオミを狙ってることになったら困る。 「うん……。わかった……。」 「許してくれる……?」 「……なんか、俺と付き合ってたら、束縛になるよね……。」 「え……でも、付き合うってそういうことだよね。」 ユイちゃんに約束して、タツオミとキスしてる俺が言うのも何だけど。 「……いっそ、浮気自由にしたらいいのかな?」 「え?いや、そんな……。」 「俺のせいで、リョウスケがコソコソしたり、我慢したりしなきゃいけないのって、悪いな……って。」 「お、俺もそんなに気が多いわけでは……。」 「……俺のことも、気が向いたらでいいよ……。一番じゃなくても……。」 ハルマの言葉を聞いて、胸が痛かった。 「いや、あの……。」 「ごめん、帰る。」 一度こうなったハルマは、何を言ってもダメだった。 今までもそうだった。 ハルマの後ろ姿を見送るしかなかった。

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