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こんなの間違ってる

 花道の骨ばった手が俺の顎から首へ、首から下っ腹までスーッと撫でられ鳥肌が立つのにやめて貰えず、下半身を撫でられる。  優しく労わるようなソフトタッチだったが、急に鷲掴みにされて腰が飛び跳ねる。 「ハハハハハ、まるで魚みたいだね。豊くん案外敏感なんだね、でもそう簡単にはイかせてあげないよ?」  カバンからゴソゴソと何かを探り、出されたのがよく分からず首を傾げたら「これは貞操帯って言ってね、射精防止器具って言ったら分かるかなぁ?」とニタニタ顔で言う。  花道はその貞操帯を俺に装着して、カバンからは次から次へと拷問AVで使用されるような物が飛び出してくる。 「お前……なんでそんなものばっか持ってんだよ、とんだ変態じゃねえか。ハッ!」  下半身の固いガードに違和感を覚えながらも、鼻で笑って見せたが俺の声は届かないらしい、「まずはこれかな」と蝋燭に火をつける。  どんなに威勢を張っても鳥肌が止まらない。 「そんなに怯えなくても大丈夫だよ。体がボロボロになってもならなくても、君みたいな奴は他の相手なんかもう二度と出来ないから。出来てもぼくが退治するし」  「最初で最後の良い思い出にしてあげるよぉ」その言葉と同時に、溶けた蝋が体に垂れた。  皮膚が熱さで痺れる、痛くてたまらない。辞めてくれなんて願っても、俺はそれ以上の事をしたと言いたげな表情で、嬉しそうに蝋を垂らし続ける。  皮膚という皮膚が火傷でただれ、真っ赤な蝋の色なのか俺の肌の色なのか分からなくなって、ようやく蝋燭の火は切れた。 「あーあ、なんですぐ終わっちゃうかなぁ。こんなのじゃあ、全然足りないよね」  そう言って、死んだ瞳に、口角が千切れそうなぐらい上げて、鞭を取り出した。 「スパンキングってのは知ってるよね、君はいつも人を殴る側だけど、たまには叩かれてみたら?」  花道が持つ鞭はこれでもかというほど、しならせて俺の腹を打つ。  ピシンと大きな音と共に、打たれたところがヒリヒリ痛みだす。顔を上げて腹を見ると鞭の跡ががくっきりと残っていた。  ベッドの上で手首に拘束具を付けられたまま、後ろ向きにさせられて、尻に向かって鞭を打つ。  花道の表情は見えないが、小さく声を殺しながら笑っているのが聴こえてくる。  ビシッバシッと音を大きく立てて打たれるたびに、「ひぃっ」「ああ!」「いたい!」と情けなく痛みに悶えた。 「ハハハハハ! お尻真っ赤か! バカな奴が、サルにまで落ちぶれた! おかしくてたまらないよ、これはみんなに見せてあげないとね」  俺は瞬時に後ろを振り向いて「頼む、撮らないでくれ!」と懇願するも、「だったらもっと辱めを受けてもいいの?」と問われる。  辱めとは何か、男色の趣味がなくとも、現状の流れで想像はつく。  いつの間にか下着まで脱いでいた、あいつの体に相反して大きく反り立つ物体が、俺の割れ目を撫でる。 「ううぅ、ああぁ……」  気持ち悪い、花道は興奮のあまりカウパー液を垂らしながらヌメヌメと慣らすように当てがう。今にも入れようとする。 「や、辞めてくれ……!」 「辞めて欲しい? なら、みんなに写真送るよ」 「それは! だけど……俺は……お前なんかとしたくない!!」  「それはこっちのセリフだよ」と頭を鷲掴みにされて、耳元で囁きだした。 「誰が今まで好き好んでいじめられてきたと思う? バカな君は、ぼくがいじめられるのが楽しいとでも思った? 楽しいわけねえだろ」 「君は覚えていないかもだけど、小学生の頃もぼくをいじめてた。ぼくが泣けばいじめは悪化して、女子の前で服を脱がした」 「その日女子に笑われてからずっと、ぼくの欲の吐け口は……お前になったんだよ」  そういえばこいつ見覚えがあるなと思っていた事を思い出し、目だけを動かして花道を見た。  「豊くんの人生をメチャクチャにしてやる事を想像するだけで射精したのに、今、この瞬間! ……楽しくて楽しくてたまらないよ」そう言いつつも花道の笑顔は闇に染まりきっている。 「ハッ! 花道、俺はお前の事なんかこれっぽっちも覚えちゃいねえのに、ずるずる引きずってお前のほうがバカじゃねえの」 「いくらお前が俺を痛めつけたって、過去もその特殊性癖も変わらねえだろ。お前は一生いじめられっ子のままなんだよ!!」  花道の痛いところを突いてやり、大声で笑ってやると首を絞められた。 「うるさい! うるさい、うるさいうるさイィっ!! はぁはぁ……! それ以上喋るなら、お前のすべてを消すよ?」 「ああ、でも殺してしまってはつまらないな。そういえば……」  「これも持ってきてたの忘れてた」とカバンから猿ぐつわを取り出し、俺に装着した。  俺に復讐しても変わらない事実から耳を塞ぎ、猿ぐつわを付けた姿で見上げながら睨みつけると、花道のモノはピンと真っ直ぐになる。  もう我慢できないと言うように躊躇なく、俺の尻穴にぶっ込んだ。

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