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俺のせいじゃない

 「んん……い、いたた……あれ俺いつの間に……」  ベッドに来ていたんだろう、そう言いかけていた時、花道の声がした。  ただの悪夢だと期待していたのに、頭に響く痛みと、目の前のニタニタ顔は現実みたいだ。  いつの間にか着替えていた花道はシャツの前を開け、骨ばった体を見せつけるかのように、俺の上に跨った。  どかそうと手を動かしてみたが、手首は拷問器具のようなもので自由を奪われている。 「……お、お前なにを、するつもりなんだ……? さっき殴ったろ、もう充分だろ、良い加減にしないと警察呼ぶ……」  唇を震わせながらも反抗の意思を見せるが、何も言わずに顔を近づけてくる花道が恐ろしくてたまらない。 「助けなんて来る訳ないでしょう、知ってる? 君は孤独なんだよ」 「はあ!? 何言ってんだよ! 俺には金持ちの両親がいるし、クラスメイトには信頼されて」  また話を遮る花道はスマホを俺の顔面に押しつけた。そこに表示されていたのは、見たこともないSNSのグループチャット、俺以外全員参加している。その内容は全て……俺の悪口だった。  どうでも良い奴らだと思っていたのにいざ目にしてしまうと目が潤んでしまい、顔を逸らした。 「目を背けても無駄だよ、君は誰にも大事に思われてない。現に君の両親がどうしてここに居ないか知ってる?」 「親は……仕事で……」 「優しいご両親だねぇ、君以外の息子を大事に大事に愛しているのにね。ずっとそばにいて、毎日手料理も用意してるみたいだよ」  また目を逸らさないようにと俺の顎を掴み、固定された視界には、両親が男の子と遊んでいる写真が映し出された。 「な、なんで…!? こいつ制服着てる……あの金持ち高校の……」 「本当に何も知らなかったんだねぇ、豊くん君がバカなのは知っていたけどこれ程だったとは……ハハハハハ!!」  俺の頭上で汚い笑い声を発さられ、勝手に涙が溢れ出してきた。普通のなら泣いてるんだから同情されても良いはずなのに、花道はうっとりとした表情で俺を見る。 「ふふふ、ずっと待ってたんだよ。この景色を、君を精神的にも身体的にも痛めつけて、陵辱する日を」 「ついでに君の自尊心も奪わせて貰うねぇ」  そう言ってはあはあ荒い息を俺の顔にかけて前髪を鷲掴み、無理やり口を口で塞がれた。  「んんー!」と抵抗虚しく、花道のねっとりとした舌が、押し込まれ割って入っていく。  もうやめてくれと縛られていようが構わずバタバタ動き出すと、唇を噛まれた。 「はぁはぁ……な、なんでこんな事! まだ女ともしてねえのに……最悪だ!!」 「ふぅ……美味しいねぇ、童貞豊くんの唾液……また噛まれたくねえならじっとしてろよ」  顔は赤らめてうっとりとしているのに、口調が悪くなった花道が怖くて、それから30分ぐらいの間ずっと舌を絡ませられ、唾液を流し込まれて飲み干せと指示される。  まだ少し残っていた反抗心で吐き出したが、手を振りかざして今にも殴ろうとしてきた。 「な、殴りたければ殴ればいい! お前みたいな弱い奴の力なんて……俺は痛くも痒くもねえし! お前なんかとキスするぐらいなら殴れよ!!」  力を振り絞って大声で叫ぶと「まあ暴力なんて君みたいなバカのする事だからねぇ」と諦めたかのように見えた。  でもキスだけでは復讐に足りないらしく、今度は俺の服をビリビリに破きだす。デブではないが少し皮が余ってる体を凝視された。 「ハハハハハ! みっともない体、誰が僕の体型をいじってるのかなぁ。君だって背が高いだけで、金があるだけで、たとえ顔が良くても性格が終わってる」  ──「君みたいなゴミを相手に出来るのはぼくだけだよ」  なんて意味不明な言葉を口にした途端、花道の頰の紅潮が激しくなり、下半身に硬い何かが当たってくる。 「さあ前戯はこのぐらいにして……本番に入ろうか?」  服を脱がされ身体中唾液まみれで不快な中、もっと嫌な言葉を耳にした。俺の勘違いであって欲しいと強く思った。

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