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結ばれた二人⑤

 蕩けてしまいそうな深い口付けを交わす。  お互いの舌を絡めとって、唇を甘噛みして。仔空(シア)はずっとこの瞬間を夢見ていた。優しさの欠片もない、貪りつくような、そんな口付け。気持ちが掻き回されて思考回路が一瞬で停止する。フワフワと、まるで桃源郷にいるような気分になった。 「仔空……来るのだ……」  仔空の耳元で玉風(ユーフォン)が甘く囁く。それだけで、仔空の体の中を甘い雷のようなものが駆け抜けて行く。恐る恐る顔を上げれば、玉風の優しい瞳を見つける。まるで今晩の月のような壮大な瞳に吸い込まれそうになった。  そんな玉風に、今度は仔空から口付ける。今度は優しくて甘い口付け。チュッチュッと羞恥心をかきたてるような音が静かな閨に響いた。 (乾元(アルファ)に抱かれたい)  仔空を支配する激しい本能。夢中で玉風の唇に貪りついた。 「はぁ、はぁ……仔空、仔空……」  仔空の執拗な口づけに、玉風も息が絶え絶えになり音を上げる。 「仔空……其方、激し過ぎだろう」 「だって……だって、陛下と……もっと口付けしたいです……」 「どうした、仔空。不安なのか?」 「いいえ、陛下。仔空は幸せ過ぎて心が震えているのです」  自分のことを心配そうに覗き込む玉風を見れば、なんだか泣きたくなってしまう。 「こんなに優しく抱かれるのは、生まれて初めてだから」  仔空はなんとか笑顔を作ろうとしたのに、綺麗な翠色の瞳からは涙が溢れ出し頬を伝った。 「ハァハァ……仔空……愛おしい……もう我慢しないからな」  玉風が優しく、でも余裕なく微笑む瞳の影に、仔空は獣の片鱗を見つける。発情しているわけではないのに体が火照り、お腹の奥がジンジンと疼くのを感じた。  夢中で抱き合って唇を貪る。噛みつき合うような口付け。  玉風の絹糸のような髪から汗が垂れ、前髪が額に張り付く。それが堪らなく妖艶で男らしくて、仔空は眩暈を覚えた。呼吸する間もないくらいの口付けの合間に、 「仔空……仔空……」  と、途切れ途切れに熱の帯びた声で名前を呼ばれる。激し過ぎる口付けに、仔空の全ての感覚が麻痺していった。  我慢した時間があった分、お互いを求める速度がどんどん加速し……強く求め合い、その存在の愛おしさに陶酔していく。  乾元と坤澤の本能に、2人は呆気なく翻弄されていった。 「体は辛くないか?」 「大丈夫です。だから、早く……もう、陛下……」  そう言って仔空は玉風をそっと引き寄せ、また口付けをねだった。口付けをしながら着物の帯を解かれ、下着を脱がされる。仔空は躊躇いを感じながらも、自ら腰を浮かせそれを手伝った。 「なぁ、其方は本当に綺麗だな……」  自身を口に含まれ、ジュルジュルと卑猥な音をたてて攻め上げられれば、 「はぁ、ん、ん……あぅッ。気持ちいい……やぁ、陛下……気持ち……」  と、甘い声が次々と溢れ出す。 「もう我慢できない。仔空、挿れていいか?」  玉風が仔空の顔を覗き込む。  仔空がコクコクと余裕なく頷くと、すぐに足を抱え上げられる。 「えっ!? やぁ……陛下、やめてください……!!」  後孔に舌を這わせられれば、あまりの羞恥心から自ら顔を覆った。しかしそれ以上に、仔空を襲う快感の坩堝にいとも簡単に突き落とされてしまう。  いやらしく仔空自身の付け根から先端までを舐め上げチュウッと口づけされれば、早くも絶頂を迎えてしまった。 「あ、あぁ……ッ」  熱い蜜が飛び散る度に、ビクンビクンと体を大きくしならせる。 「いい子だ」  それを満足そうに玉風は見つめた。たった今放たれたばかりの精液を玉風は手で受け止め、仔空の後孔にクチュクチュと塗りたくる。そのまま、チュプンと指が挿入された。 「やぁ……ああ、あぅ……!! あ、あ、あぁ……!!」  絶頂の余韻から抜け出せない仔空は、強い刺激に身悶えることしかできない。

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