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オメガとして8

「そうだ。両家顔合わせの日なんだけど、来週土曜日にどうだって。良ければ、父の方から優斗の家の方に連絡をするって言ってた」  オレンジレアチーズケーキを食べながら樹くんが言う。 「僕は大丈夫だけど、僕からじゃなくて直接加賀美に?」 「うん。優斗が加賀美だって言ったら、顔合わせ前に挨拶をしないと、って言ってた。なんか焦ってたよ。その筋では有名みたいだね、優斗の家」 「そうなんだ? 単にオメガを物のように出してるだけだよ」 「でもさ。俺、怒られたもん。加賀美の家の人なら早く言え、って」 「なんかごめんね。家なんて関係ないのにね」 「ほんと。俺だってそうだよ。大人って面倒だな」  大学で出会った僕たちは、互いのバックを関係なく好きになった。でも、大人たちにとっては、僕たちではなく、Kコーポレーションであり、加賀美なんだろう。そして結婚もただお互いが好きだからでは済まなくなる。家同士の結びつきだ。  ただ、僕が加賀美の人間だということで樹くんのご両親に反対されることがなかったのだけは良かったと思う。 「早く優斗と結婚したいなぁ」 「早い方がいい?」 「そりゃそうだよ。番契約してたって結婚は別っていうか。優斗は俺のだ、って」 「それ言うなら僕の方だよ。樹くんモテるんだから」 「俺は優斗だけだから関係ない」  はっきりとそう言われて、言われた僕の方が恥ずかしくなってしまった。  樹くんは自分の気持ちを隠すこともないどころか、折に触れ僕にも気持ちを伝えてくれる。だから僕は樹くんがモテているのを知っていながら不安になることはない。 「顔合わせって何するの?」 「食事しながらお話しましょう、って感じらしいよ」 「食事……」 「食事がどうかした?」 「いや……」  顔合わせということで、当然そこらのファミレスやカフェじゃないことはわかる。問題は、ここじゃないけれど、また高級店とかなんだろう、と思うと自分のお腹は大丈夫だろうか、と心配になる。 「どうしたの? なんか考えてるでしょ」 「ううん。ただ、二週連続高級なもの食べたら、僕のお腹大丈夫かな、って」 「和食あたりなら、食べ慣れた食材だから大丈夫じゃない?」 「かな? トリュフとか出てこないし大丈夫かな?」 「そしたら、俺から父さんに話しておくよ。料亭とかならいいんじゃないかな」  樹くんは笑顔で料亭というけれど、料亭も高級食材だよなぁ、と思う。思うけど、きっと樹くんにとってはそれほどでもないのかな? どちらにしても僕のお腹には頑張って貰わないと困る。いや、その前に食事どころではないかもしれない。樹くんのご両親と初めて対面するのだから。 「でも、優斗のお父さんに会うのは緊張するよね。食事どころじゃないかも」 「樹くんもそうなる?」 「当然だよ。ちょっとおっかなそうだし。勝手に優斗の項噛んじゃったし」  そうか。緊張するのは樹くんも同じか。そう思うとほんの少し気が楽になった。

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