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神様からのプレゼント4
◇◇◇◇◇
それから八ヶ月後。僕は元気な女の子を産んだ。第二性はベータだった。
退院した翌日、お義父さんとお義母さんが退院祝いに駆けつけてくれた。
「ほんとに可愛い。優斗くんに似て優しい顔をしているわね。目元とかそっくり」
「ほんとだな。女の子だから優斗くんに似て良かったな」
「赤ちゃんに必要なものは揃えたと思うけれど、なにか足りないものはない?」
お義母さんが心配気に訊いてくる。が、必要なものは今のところない。それどころか余っている。洋服からおもちゃ、靴、全てを揃えたのはお義父さんとお義母さんだ。
お腹の子供が女の子だとわかったら、二人は色々と買って持ってきた。それはもう、僕と樹くんの出番はないぐらいに。実際、僕達が買ったのはおむつくらいで、ベビーベッドもベビーカーも買って貰ったものだ。ここまで揃えて貰って、足りないものがあったらまた買う気なんだろうか、と思うと二人の溺愛ぶりはすごいものがある。この血を受け継いだ樹くんは、せめて名前だけは、と言って、陽を浴びてすくすくと育つ新緑のように、と|陽葵《ひなた》と名付けた。
そして僕は何もしていない。と、樹くんに言ったら、一番大変なことをしただろう、と言って逆に僕にはなにもさせて貰えない。樹くんがいないときはミルクを作り、あげるのは僕がやるけれど、樹くんがいるときはそれすらさせて貰えない。オムツ替えもそうだ。そういうのを見て、つくづくと樹くんはお義父さん、お義母さんの子供なんだな、と思う。
と、お義父さん、お義母さんはそれはそれは陽葵を溺愛してくれているけれど、加賀美の父に産まれたこと、ベータだったことを告げたところ、家には来たけれど「お前は最後まで出来損ないだったな」と一言残して帰っていった。おめでとうもなにもなかった。その言葉を聞いたとき、僕の中で何かが終わった。
「樹くんも、お義父さんもお義母さんもベータであることはいいの?アルファを産めなかった」
父には如月のためにアルファを産め、と言われていたがアルファは産まれず、父の一番嫌いなベータを産んでしまった。それを知ったとき僕は青くなったけれど、三人は性別でなにかをいったことはなかった。
「性別なんてどうだっていいんだよ。元気な子を産んでくれた。それだけで十分だよ」
逆にそう言ってくれた。それはお義父さん、お義母さんも一緒だった。僕は産まれたときから父と母に性別のことを言われていたから、逆にびっくりした。そう言えば、樹くんは付き合うときに性別は関係ない、って言っていたな、と思い出した。
きっともう父と話をすることはないだろう。でも、寂しいとは思わなかった。だって、一度も僕を愛してくれたことのない人だ。逆に今の僕とその環境をくれたのはすべて樹くんだ。樹くんが愛してくれたから今の幸せがある。きっとこの先、辛いこと、大変なこともあると思う。でも、樹くんがいてくれれば僕は頑張れる。樹くんが愛してくれた僕だから。すべては、君が愛してくれたから……。
End
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ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
次作は3月12日から更新になります。
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