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神様からのプレゼント3
その日の夜、仕事を終えたお義父さんとお義母さんが家に来た。
「優斗くん!子供ができたって?」
「はい」
「良かったな。おめでとう」
「いえ、遅くなって申し訳ありませんでした」
「そんなことない。でも、何かあったら頼ってくれ。できることであればなんでもする」
「ありがとうございます」
「そうよ、何かあったら私に知らせてね。こういう時は出産経験者として助けることができると思うの」
お義父さんもお義母さんも優しい言葉をかけてくれる。実の父は産まれてくる赤ちゃんの性別のことだけ言うと電話を切ったのに。そう思うと泣けてきた。実の父親なのに。
「泣かないのよ。優斗くん。私は仕事していないから、いつでも電話してね。体調が悪かったりしたら我慢しないでね。病院も付き添いできるし」
「はい」
母は僕に呪詛のような言葉だけ残して自殺をし、父は僕の心配をすることは一切ない。産まれてくる赤ちゃんだって性別が気になるだけ。そんな親だったから、親の温かさなんて知らない。でも、お義父さんやお義母さんからは、親の温かさを感じる。
僕は本当の子供ではないけれど、そんな僕に対してもよくしてくれる。そんな人たちにやっと孫の顔を見せてあげることができるんだ、と思うとホッとした。僕が家出をして以来、子供のことは禁句のようになっていて、心苦しかったから。
「樹。優斗くんを気にかけてあげてね。仕事もあるけれど、優斗くんが一番に頼れるのはあなたなんだから」
「わかった。普段は無理させないし、なにかあったら電話するから」
「そうしてちょうだい。それで仕事はどうするの?」
「ぎりぎりまで働きたいとは思っていますけど……」
「オメガ枠での採用なのよね? それなら理解もあるのかしら」
「多分……。それで出産したオメガの男性もいるので」
「そう。じゃあ大丈夫ね。でも、無理は禁物よ」
お義母さんは樹くんを出産した経験があるから、色々気になるのだろう。僕には母がいないから、お義母さんの存在が心強い。親の存在ってこんなにも心を温かくし、支えにもなるのだな、と僕には縁のなかった親子の絆というものを感じる。きっと、母が生きていても、父と変わらなかっただろうな、と思う。僕の心配というのはしなかっただろう。そう思うと寂しいけれど、今はお義父さんやお義母さんがいるのだから、と自分に言い聞かせる。こんな温かい家族の一員にしてくれた樹くんに感謝だ。
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