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第1話
割と裕福な貴族の家庭に
次男として生まれたのが僕。
なぜか髪は赤毛、
目の色は翡翠で
南蛮人の子だと忌み嫌われた。
長男は蝶よ花よと育てられる傍ら、
僕はほぼ使用人のように暮らしていた。
が、ある日、調子に乗って
新しいビジネスに手を出した両親が
経営に失敗し、多額の借金を抱えた。
そこで白羽の矢が立ったのが僕だった。
気づいたら僕は娼館に売られていた。
この見た目だからどれほどの価値がついたかは分からない。
多分、大した額にはならなかっただろう。
僕と兄は正妻の子供だったけども
複数人いた側近とその子供は
母子ともども売られたと聞いた。
ちなみに正妻である僕の母は
僕が生まれた瞬間に死んだらしい。
死んだ後は、南蛮人との子を身籠もって
産んだ上に、旦那に押し付けて死んだ
汚れた女だと言われていた。
亡くなってなお、そんなふうに言われるなんて
可哀想なお母さん。
だけど、こんな見た目で生まれなければ
僕は酷い扱いを受けたり、馬鹿にされたり、
ましてや娼館に売られることなんてなかった。
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