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1:イケメン大学生は幽霊が怖い①

「あっ……ねぇ見て、あの人」 「わぁ、イッケメーン……王子様みたい」 礼二郎は今朝、珍しく寝坊してバスに乗り遅れたため、仕方なく駅まで歩いて電車に乗っていた。 (フフ……今日も俺は噂されているな) 礼二郎は彼女たちに対するサービスとばかりに前髪をサラッと横に流す仕草──日曜日の某国民的アニメのキザなキャラクターのように──をしてみせた。 「……カッコイイけど、ちょっと残念な人かもね……ナルシスト……?」 「ぷぷ、そんなこと言っちゃダメだって……! 可愛いじゃん、痛々しいイケメン(笑)」 「見てる分には面白いけど、絶対に付き合いたくはないよね」 「それな~」 (今度はなんか笑われてる……なんでだ? 俺がかっこよすぎるせいか?) ふと、目の前に座っているサラリーマンに何故か可哀想な子を見るような目で見られているのに気付いた。きっと体調が悪いのだろう。 もし礼二郎が座っていてサラリーマンが立っていたのなら席を譲ってあげるところだが、今の立場は逆だ。 つまり、礼二郎に出来ることは何も無い。 (フゥ、俺って本当にカッコよくて親切で完璧すぎる人間だな……) 心の中でエア親切をしただけで結局のところ何もしていないのだが、礼二郎は一人で満足げに微笑んだ。

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