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31:霊に好かれる理由①

「そうだったんだ。それはなんというか……厄介だね」 「厄介ってものじゃないよ、ホントに! それが原因でこの年になってもまだマトモに女の子と付き合えたことが無いんだから! ……京介は今までカノジョとか、それなりにいたほう?」  礼二郎は憤慨して愚痴ったあとに、おそるおそる聞いてみた。柴はスマートなイケメンでおまけに手慣れているので、当然答えは分かっているが……。 「まあ、それなりかな。でも誇れるもんでもないよ、付き合っても自然消滅ばっかりだし。長続きしたことがないんだ」 「自然消滅?」 「女の子は俺には重たかったし、男は軽すぎたんだ。……恋愛って難しいよね」 「そう、なんだ……」  恋愛経験がほぼ無いに等しい礼二郎には、柴が何を言っても(すごいなあ)という感想しか持てなかった。そしてなにげに柴が口にした『男は軽すぎた』という言葉に、何故か胸がきゅっとなった。 「え、えっと。何でそういう雰囲気になると霊って現れるんだろうな。京介、原因分かる? 一般的にはエロいことしてると寄ってこないって言うだろ!?」  礼二郎の問いに柴は暫く考えて、口を開いた。 「それはまあ……霊たちが、礼二郎に童貞卒業させたくないからだと思うよ。純粋に妨害」 「え!?」 「つまり霊に好かれてるんだよ、とっても」 「……っっ!?」 (そ、そんなの……全然嬉しくなーい!!)  礼二郎は心で叫んだ。

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