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33:告白①
「こわくない……」
そう言いながら、ツーッと礼二郎の両目から涙が零れて落ちた。
「れ、礼二郎?」
「こわくない、けど……死んだらいやだ……京介……」
(やっぱり俺は、京介のことが好きなんだ。もし彼が幽霊になったらって想像しただけで、こんなにも胸が痛い……)
「……まいったな、泣かすつもりじゃなかったんだけど」
「じゃあなんでこんなこと言うんだよぉ~……」
「身近な人の霊でも怖いのかなって知りたかったんだ。……泣かせてごめんね」
「………」
(俺も今までは、全ての霊が怖いと思ってた。でも霊が親や兄貴だったら……池永や京介だったら全然怖くないし、むしろ霊になっても会いたいとすら思う。──俺は、霊が怖いわけじゃなかったのかな。何がこんなに怖いのか、自分でもよくわからない……)
「京介……」
「!」
考えるのに疲れた礼二郎は、柴の胸にぽすんと頭を預けてしがみついた。
「れ、礼二郎? いくら俺が紳士でも、こんなことされたら期待するよ?」
「いいよ、期待しても。俺、多分京介のこと好きだから……」
「!」
もしこの先別れて疎遠になってしまっても、死に別れるより何倍もマシだと思ったのだ。それともし気持ちを伝えずに明日死んでしまったら、きっとひどく後悔する。
そう思って、礼二郎は胸の内を素直に伝えたのだった。
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