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第十一章③ ♡
すかさず、薫は肇を抱き寄せた。仰向けにして、足を開かせて引き寄せて、余韻に痙攣する蜜壺に自身をねじ込んだ。挿れた瞬間に白濁が弾け、肇の下腹をべったりと濡らした。肇は狼狽えたように目を瞬かせる。
「あ゛っ♡ ……んン゛、おい、かおるっ」
「随分見せつけてくれるじゃん。肇ってば、ホント真純には甘々なんだから」
「やっ、おい、やめ、とまれって、かおるっ!」
「止めるわけないでしょ。真純がそのつもりなら、ちゃんと見せつけてやんないといけないし、肇にもちゃんと分からせてあげないといけないからね」
「や゛っ、んん♡ やだって、いやだっ、かおる!」
肇が真純の目を気にしているのは明らかだった。真純に抱かれるのはいいが真純の前で薫に抱かれるのは恥ずかしいだなんて、基準が独特である。けれど、今の薫に肇の要望を聞き入れてやる余裕はない。ガツガツと荒々しく腰を打ち付けた。
「あ゛っ、あ♡ やだ、まってくれ、まて、かおるっ」
「何が嫌なの。腰動いてるくせに」
「ちがっ、んん゛♡ ますみがっ、ますみがみて……みてぅから……っ!」
「当たり前じゃん。見せつけてるんだから。肇が僕のものだって、分かってもらわないと」
達したばかりの鋭敏な躰を無遠慮に暴かれて、肇は髪を振り乱して善がった。そんな肇の痴態を前に、真純は萎えるどころか興奮していた。顔を真っ赤にして、肇の乱れる姿に見入っていた。前は既に勃ち上がっている。
「親父……」
「すごいエッチでしょ。肇、ほんとに気持ちいいとこんなになっちゃうんだよ。真純はここまでできる?」
薫が得意がって言うと、真純は悔しげに顔を顰めたが、熱い視線は肇に注がれたままだ。真純はおもむろに肇のスウェットを脱がすと、露わになった豊満な乳に吸い付いた。
「っ!? ますみ、なにしてっ……!?」
途端、肇の秘部が激しく痙攣した。射精せずにナカだけで絶頂した。蕩けた肉襞が媚びるように絡み付いてくる。「あ、あ」と小さく喘ぎ声を漏らす。
「……親父、乳首だけでイクのか?」
「僕が開発したんだよ。かわいいでしょ」
「……うん」
真純はうっとりと頬を染めると、赤ちゃんのように乳首を吸った。ちゅうちゅう吸って、時折歯を立てて甘噛みして、もう一方の胸も手や指で愛撫する。卑猥というよりは昔を懐かしむような愛撫だったが、真純に乳を吸われる度に、肇は軽い絶頂を繰り返した。
「……親父って……お母さんだったのか……」
「ゃ゛、っめ゛、ますみっ、……そこ、いじんな……っ」
「でも気持ちいいんだろ?」
「やっ、ん゛ん、かおるてめっ……、やめさせろ……っ!」
「え~? でも、真純がしたがってるんだし?」
どちゅん、と奥まで貫かれ、肇は激しく仰け反った。
「ぉ゛、あ゛っっ……♡」
「おっぱいとおまんこでいーっぱい気持ちよくしてあげるから、肇はただ感じてればいいんだよ」
「ゃ゛、ひっ♡ やめ゛、やっ……♡」
「おまけにおちんちんも弄ってあげよっか。気持ちいとこぜーんぶしてあげる」
「やぅ゛♡ あっ♡ いやだ、ぁ゛」
「ほら、我慢しないで気持ちよくなりなよ。真純に見られながらメスイキしろ」
「ぃ゛っ、ァ……ぁ゛あァ゛……――っっ!!」
研ぎ澄まされたあらゆる性感帯を一斉に嬲られて、肇は甘い蜜を噴いた。噴き上げたそれは、ちょうど胸の飾りを舐っていた真純をしとどに濡らし、肇は羞恥と愉悦に悶えた。
搾り取るように蠢き吸い付いてくる肇の肉壺に、薫も限界を迎えた。口を開けて欲しがる子宮に熱い飛沫をぶち撒けてやれば、肇は声もなく涙を散らして悦んだ。
「あっ、なか……♡ なかあつい……かおるの、きて……っ」
「うん。肇のナカもすっごい熱いよ。僕の精子おいしそうに飲んで偉いね」
「や、ぁぅ……♡」
肇は睫毛を震わせる。瞼を閉じれば涙が零れて、それがまたおいしそうで堪らず、薫は喉を鳴らした。
「……親父、泣いてる……」
「気持ちよすぎるとこうなっちゃうの。かわいいでしょ」
「……良すぎると漏らすのか?」
「これは潮だよ。潮吹きっていってね、おしっことは別物なの」
「……」
真純は、好奇心と欲情を孕んだ眼差しでじっと肇を見つめる。理性までどろどろに溶けてしまったように見える肇だが、真純に見られることにはまだ羞恥を覚えるのか、ピクピクと小刻みに躰を震わせた。
「……あんた、ナカに出したのか?」
不意に真純が真面目な顔をして言った。
「え? うん。大体いつもそうだしね」
薫が包み隠さず答えると、真純は怒ったように眉を顰めた。
「ゴムは着けろって親父言ってた。紳士の嗜みだって」
「ああ、だからナカは綺麗なままだったのか。真純、パパの言い付け守って偉いじゃん」
「あんたも親父の言うこと聞けよ」
「そりゃあ僕だって、着けろって言われたら着けるけど、今日は何にも言われてないし」
「紳士の嗜みってそういうことじゃないだろ。学校でも避妊はしろって教わったし、親父の負担にはなりたくないし……」
薫は昔の自分を思い出した。昔、本当に昔、今となっては大昔にも感じる。今の真純と変わらない歳の頃、薫も肇の体を慮って中出しを控えたりしていた。というのは建前で、寸止めにより肇が乱れるのを楽しんでいたのだが、当時の薫と比べて真純はずっと真面目でいい子のようだ。純粋に肇のことを思いやっているらしい。
「真純も中に出したいんじゃない?」
薫の悪魔的な誘惑にも、真純はなかなか首を振らない。
「ゴムはしろって、親父が」
「でも肇、中に出される方が好きなんだよ? あったかくて気持ちいいって、いつも言うもん」
「……そんなこと……」
「本当だって。気になるなら肇に聞いてみなよ」
「……」
複数プレイなんて糞喰らえと思っていた薫だが、今や案外乗り気である。一人よりも二人の方が同時にたくさん肇を愛してあげられるし、真純がいることで肇の反応もかなり敏感なものになっている。だから、少しくらいは真純に夢を見させてやってもいいか、という気分になっていた。
「……親父。……な、中出し……好き、なのか?」
エロワードが恥ずかしい年頃なのか、真純は顔を赤らめて肇に尋ねた。散々いやらしいことをした後だというのに恥ずかしがるポイントがおかしいが、思春期の初々しさを感じられて微笑ましい。
「……親父。おれも、ナカに……おれも中出ししたい」
肇は焦点の合わない蕩けた瞳を彷徨わせる。
「おれも……親父のこと、いっぱい気持ちよくしたい。薫に負けたくない……」
肇の喉仏がゆっくりと上下した。
「っ……好きに、しろよ……」
肇の許しを得た真純は、ぱっと薫の顔を見た。薫がにこやかに頷くと、真純は息を呑み、肇の逞しい太腿を両腕に抱えた。可愛らしい先端を宛がい、ゆっくりと腰を進める。
「あっ、これ……やばいっ」
「人肌の気持ちよさってハマるよね」
「あ、ぅ……親父のナカ、すごく熱いっ……ぎゅうってする……!」
「ますみぃ……っ、がまんしねぇで、いつでも出せよ」
「ダメだよ、真純。肇のこと気持ちよくしてあげてからじゃないとイッちゃダメ。セックスってそういうものだからね」
「っ、でも……どうしたら……?」
薫は得意になって指南する。昔、薫も肇に色々と教えられた。今度は薫が真純に教える番だ。
「あのね、この辺に前立腺ってのがあってね」
言いながら、薫は肇の下腹を軽く叩く。それだけで、肇はビクッと腰を跳ねた。
「ん゛♡ おい、ますみにヘンなこと教えんなっ……」
「変じゃないよ。性教育だもん。で、この辺にね、結構入口に近いとこなんだけど、すっごく気持ちよくなっちゃう魔法のスポットがあるの。ここぐりぐりしてあげたら、肇すぐイッちゃうから」
薫が腹を優しく摩るだけで、肇は甘い声を漏らして身を捩る。
「んん゛♡ っ、くそ、やめ……っ」
「外から触るだけでも気持ちいいの。ナカから直接してあげたらもっと悦ぶよ」
「前立腺……」
「ますみも、ヘンなこと覚えんじゃねぇよ」
「けど、親父のいいところなんだろ? おれ、がんばるから」
「んなことで、がんばんな、っ」
真純はやはりいい子で真面目だ。そして、やっぱりパパが大好き。初めて会った頃から変わらない。この世の何よりも、誰よりも、肇のことを一番に信頼している。
「っ、マジですんのかよ……っ」
さすがに、真純にナカでイかされることになるとは考えていなかったのか、肇は少し尻込みしているようだったが、今更騒いでももう遅い。真純は、先程薫が教えた場所をしっかりと狙えるよう、挿入の角度を変える。
「この辺か?」
「ちがっ……じゃねぇ。さがすな、あきらめろ」
「じゃあ、こっちか?」
「っ……」
「じゃあ……ここか?」
「ン゛っ、ん……ちが……」
「ここなんだな。よかった、見つかって」
肇は決して肯定しないが、躰の反応と声色の艶で丸分かりである。真純が嬉しそうに見つけたばかりの前立腺を突けば、肇はシーツを握りしめて悶えた。
「んン゛♡ っくふ、ぅぅん゛♡」
「親父、ここがいいんだよな? おれ、ちゃんとできてる?」
「でき、って♡ できてる、から……ぁ」
「親父がイクまで、がんばるから、おれ……っ」
「ぃ゛♡ は、やめ、っ……♡」
快楽の波に半分呑まれているくせに、肇はいまだ理性の狭間で藻掻いている。その姿が何とも健気で、いじらしくて、薫は誘われるようにキスをした。
柔らかく甘美な唇。その際に残る古い傷痕を、ちゅ、と軽く吸っただけだったが、その瞬間に肇の反応が変わった。声色はさらに艶っぽく、誘うように腰が揺らめいている。
「あ、っ♡ あ……んぁ、……っ♡」
「真純、奥まで挿れてごらん」
薫が指示すると同時に、真純は勢いよく突き立てた。と同時に、肇は白濁を飛ばした。
「あ゛っっ♡ んぉ゛ぉ♡」
「っ、ナカ、すごく締まる……っ」
真純は苦しげに呻くが歯を食い縛って射精を耐え、がむしゃらに腰を振りたくった。絶頂時の蜜壺は、実に甘美に打ち震える。だからこそいつまでも味わっていたいのだろう。薫も経験があるから分かる。
真純に激しく揺さぶられながら、肇は喉を嗄らして喘いだ。いよいよ理性を手放して、快楽に堕ちたのだ。
「すごっ、きもちいっ……親父も? きもちいい?」
「いい゛っ♡ あっ♡ きもぢい、ますみっ」
「おれ、ちゃんとできてる? ここがいいのか?」
「ぃ゛いっ、いいからっ♡ そご、もっとっ……」
悲鳴にも似た声で喘ぎながら、肇は艶めく舌を覗かせる。一生懸命に舌を伸ばして、舌先をちろちろ動かして、まるでキスを誘うみたいに。快楽に溺れた瞳は、それでも真っ直ぐに薫だけを捉えている。
思えば、今日はまともなキスをしていなかった。さっきの触れるだけのキスが最初で、濃厚なキスは一度もしていない。だからだろうか。肇は切なげに、甘えるように、薫にキスをねだっている。薫の口づけを待っている。
「……かわいすぎでしょ」
艶やかに潤んだ唇に、薫は乱暴にかぶり付いた。甘美な舌を絡め取り、唾液も吐息も混ぜ合って、肇の中を己で満たす。おそらく肇はキスで達した。その締め付けに、真純は肇の胎に精を放った。
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