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21話・初めてのお泊まり *

 詩音さん宅から出てそのまま解散とはならなかった。離れがたくてアパートまで送っていったら、伊咲センパイが「泊まってく?」と誘ってくれたのだ。俺の返事はもちろん「ハイ喜んで!」一択である。機を逃してなるものか。  着替えを取りに一旦帰ろうかと思ったが、替えの下着があるということなのでありがたく使わせていただく。俺が泊まると見越して用意してくれていたのか。わあい! 「今日はありがとう。獅堂くんのおかげで片付けも早く終わったし、詩音の機嫌もすぐ治って助かったよ」 「いつもは違うんすか」 「やる気を出させるまでがめちゃくちゃ時間が掛かるんだ。今日みたいにすんなり作業に戻るなんて滅多にないよ」  片付けより詩音さんを働かせるほうに時間が掛かるらしい。おだてたり、褒めたり、ヨシヨシしたり。え、なにそれ羨ましい。俺も時給払うから伊咲センパイにヨシヨシされたい。そしたら勉強もバイトも家事も頑張れる。 「それより」  伊咲センパイの綺麗な指先が俺の顎をするりと撫でる。 「お風呂沸いたよ。下着とタオル用意しとくから先に入ってきて」 「伊咲センパイも一緒に」 「だぁめ。僕は後で一人で入る」  恐らくセックスの下準備をするつもりなのだ。俺に抱かれるために。やばい、もう勃ちそう。俺はなんて幸せ者なんだろう。従兄弟の詩音さんに紹介してもらえたし伊咲センパイんちにお泊まりできるし、今日は最高の日だ。  その喜びをベッドの中で伊咲センパイに全部ぶつけた。触りまくって()がらせて、早くイかせてと懇願されるまで挿入を我慢した。自分の快楽よりも、気持ち良さそうに喘ぐ姿を眺めるのが好きだ。なんでもしてあげたいと思う。  でも、伊咲センパイもされるがままではない。俺の胸板を撫で、耳元にキスしながら股間に触れたりする。手だけで達しそうになり、慌てて止めたりもした。 「ちょ、なんで先にイかそうとするんすか!」 「だって、そのままだと大き過ぎるんだもん」  だから、いちいち発言がエロい。  完勃ちした俺のちんこは伊咲センパイにはまだキツいらしい。性行為には慣れてきたが、無理をすると翌日腰が痛むのだとか。これは全面的に俺の責任である。とはいえ、可愛い恋人とイチャイチャしている真っ最中に加減などできない。 「舐めてあげる」 「ちょ、あッ」  長い横髪を耳に掛け、俺の股間に顔を埋める。 「んぅ、」  伊咲センパイは綺麗な手を添えて先端に軽くキスしてから舌を這わせ、全体を濡らしてから口内に含んだ。熱い粘膜と上顎の凹凸に擦られ、心地良くて息が上がる。初めてセックスした時以来、何度かフェラされたけど全然慣れない。 「伊咲センパイ、もう出る」 「ん、いいよ出して」  一旦口から俺のものを引き抜いて答える。ちんこの隣で喋らないでほしい。吐息が掛かるだけでも相当ヤバいというのに。 「やだ。ナカでイきたい」  駄々をこねると、伊咲センパイは困ったように眉を下げた。 「小さくするために舐めてるんだけど」 「早く俺のサイズに慣れてください」 「ええ……それはヤだなあ」  なんでだよ!  反対意見を無視し、体勢を逆転させて押し倒す。積極的なのも良いけど、やっぱり伊咲センパイは組み敷かれているほうが可愛い。乱れたシーツに白くて細い身体が横たわる姿が俺の欲望を更に掻き立てた。 「俺も舐めたい」 「え、やだ! ちょっと!」  お返しとばかりに伊咲センパイのものを口に含む。男の股間を舐めた経験はない。今が初めてだが、抵抗感は一切ない。むしろ、俺が与える刺激で反応してくれているのが直に伝わってきて嬉しい。伊咲センパイも俺のちんこを舐めながらそう思ってくれていたのかと思うと胸が熱くなる。 「ん、あ、あっ」  舌で舐め上げながら、空いているほうの手で後孔に触れる。風呂で準備を済ませてくれていたようで、俺の指をすんなり受け入れてくれた。ぐちゃぐちゃと掻き混ぜるように指を出し入れして穴を拡げていく。しっかり慣らしておかないと、また辛い思いをさせてしまうから念入りに。 「し、獅堂くん、だめ、やめて」  伊咲センパイのものが俺の口の中で痛いくらいに張り詰めている。さっきからバシバシ頭と肩を叩かれていて地味に痛いが、俺はそのまま伊咲センパイが絶頂を迎えるまで刺激し続けた。  びくんと体が跳ね、同時に俺の口内に熱いものが放たれた。ごくりと喉を鳴らして嚥下すると、伊咲センパイが血相を変えて上体を起こした。 「なんてことするんだ!」 「この前の仕返し、いやお返しっす」 「もう、ばか!」  先にイかされた上に精液を飲まれたからか、顔を真っ赤にした伊咲センパイがキャンキャン喚いている。怒った顔も可愛い。射精直後だから手足に力が入りきっていないところも可愛い。満点。

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