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 獅子谷は勢いでファイルにまで乗った俺の足をただ見つめる。  ビビったのか、と内心ほくそ笑んだ瞬間に右足をグッと引かれて危うくイスから落ちそうになった。 「ちょっ!てめっ!何しやがるっ!!」  叫んで何とかバランスを保つと、獅子谷は目を細める。 「足を降ろせ」 「うるせぇ」  別に降ろしてもいい。  だが、咄嗟に変な意地を張って睨んでしまった。 「それより何の用だよ?」  聞いてやったのに獅子谷は無言で立ち上がる。 「それが話を聞く態度か?」 「ハハッ!お前こそ、授業とかは猫被ってんのにいいのかよ?」  ケラケラと笑ったはずなのに、イスを蹴られてガターンッと派手な音を立てて倒れて、俺も床で尻もちをついた。  落ちた拍子に肘も床でぶつけたらしくジンジンとする。 「てめっ!!」  睨み上げると、平然とした顔をしている獅子谷はメガネを押し上げた。 「いいんだよ。この校舎で業後に残っている生徒は居ない」  もしかして、一度姿を消したのは他の教室も見に行っていたからか?  獅子谷は一度目を閉じてゆっくりと開く。 「それに……お前みたいなタイプにはちゃんとどっちが上か示してやらないと……だろ?」  その目の鋭さはケンカも相当数こなしてきている俺でもゾクッと寒気を感じた。 「はぁ?フザけんなよっ!」  それでも立ち上がって拳を握ると、まっすぐ獅子谷に打ち込む。  だが、またも受け止められて、むしろ、腹に一発食らってしまった。 「がはっ……」  この学校だけじゃなく、近隣の奴らは既にこの拳で黙らせてきた俺が?  こんな簡単にやられるのか?

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