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 滝本に頼まれて渋谷がまた買いに行って、滝本と丸いテーブルにただ取り残される。 「勉強嫌いだった怜旺が先生になって、しかも、ちゃんと生徒の勉強にも付き合ってるなんて安心したよ」  微笑まれても俺は言葉が出て来ない。  会って聞きたいこと、言いたいことはいっぱいあったはずなのに。 「僕も怜旺の授業受けてみたいなぁ」  キラキラと輝くような笑顔の滝本を見ていると、獅子谷が一人まだ苦しんでいるなんてやるせない。 「怜旺は元気?」 「え……まぁ?」  病気とかではないが、あんな身体を売って罪に苛まれているのは元気と表現していいのか戸惑ってしまった。 「昔はね、怜旺も一緒にサッカーやって……足もめちゃくちゃ速いから鬼ごっこしても捕まんないし、いっつも笑って楽しかったんだよ」  ふと懐かしむように遠くを見つめる滝本。  サッカーも足が速いのも、ましてやいつも笑っている姿なんて想像できない。 「いつの話してんだよ」  戻ってきた渋谷がテーブルにサンドイッチを並べて、まだそんなに食べるのか?と思っていると、俺にもチョコバナナを渡された。 「んー、小学生?」 「そんな十五年以上も前の話だろ?」 「あーそんなに経つかぁ……僕らも年取ったね」 「だろ?」  滝本も受け取ったチョコバナナはあっという間になくなる。  すぐにサンドイッチにも手を伸ばすのを見て驚いていると、滝本はにこにこと笑って取ってもらったそれを幸せそうに頬張った。

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