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「獅子谷には何で会わないんだよ!?」  その笑顔を見ているとどんどん堪えられなくなってきて遂に言葉が口から溢れる。 「会いたいよ?……でも、怜旺は昔のことを気にして僕には会ってくれないんだ」 「は?」 「毎年……このバザーだけじゃない。色んな行事の案内を送っても、一度も会いに来てくれないんだ」  初めて滝本が眉を寄せた気がした。  悲しそうな、寂しそうな表情。 「あんたもかよ!何で自分から行か……」 「行けないんだよ。僕は」  言葉を遮られて俺は口を噤んだ。  確かにさっきからずっと笑顔で食べてはいるが、イスに座ったままで食べるものは手を伸ばそうとすると渋谷がそこに導いている。 「今の生活に不満はない。むしろ、毎日楽しくて充実してるよ!」  黙り込んだ俺の手を探り当てて滝本が微笑んできた。  それでも俺は返す言葉が見つからない。 「……でもね、やっぱり友達には会いたいだろ?特にギクシャクしたままの相手とは……ちゃんと戻りたくないか?」  俺は滝本の顔が見られなかった。  滝本は獅子谷と昔のように戻りたいと思っている。  なのに、獅子谷はいつまでも償うつもりで遠くからただ身を削って援助を続けているなんて。 「あんたは獅子谷がデリ……」  言いかけた俺の言葉はバチンと背後からの手のひらで遮られた。  微かに息が切れているのが耳元で聞こえる。 「余計なこと言うな」  低い小さな声が直接耳に流れ込んできて、俺はゆっくり顔をそっちに向けた。

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