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111、第14話「★もうよくね?」

 無理矢理立たされてそのまま走らされる。 「おいっ!!」  俺の腕を掴んで走るその後ろ姿に声を掛けると、深くキャップを被ったそいつはしばらくすると立ち止まった。  キャップを取ってやると、すぐに睨み上げてくるその目。 「来てんなら何で一緒に回んねぇの?」  こっちも負けずに睨み落とすと、獅子谷は俺の手からキャップを取ってそっぽを向いた。 「ずっと近くに居たのか?」 「んなわけねぇだろ」  またキャップを被って歩き出すその横に並んで俺も一緒に歩く。  だが、急に引っ張られたために持ってきてしまったチョコバナナのチョコが溶けてきていることに気付いた俺はすぐに獅子谷の肩を掴んで止めた。 「何だっ……っ!?」  振り返ったその口を狙ってバナナを突っ込む。  グッと一気に入ったために眉を寄せて少し苦しげにする姿にドキッとした。 「ふ……ンっ……」  少し引き抜いてやると、噛み切って咀嚼した獅子谷が何とか飲み込む。 「……てめぇ、窒息させる気か?」  睨んでくるその腕を掴むと、俺は速歩きで近くの建物の影に入った。 「あ?」 「食って?」  残りのバナナを咥えて割り箸を引き抜くと、獅子谷の前に突き出す。 「何でだよ」  避けて出ていこうとするその肩を掴んで腰を引き寄せると、獅子谷はため息を吐いて口を開けた。

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