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ただ教室の中で抱き締め合って何度もキスをする。
触れ合うだけのそんなキス。
それだけなのにやけに嬉しくて胸の奥がじんわりあったかかった。
「獅子谷、好き」
チュッと口づけて微笑むと、バチンと軽く叩かれる。
なのに、またすぐに今度は獅子谷から唇を押し付けられて再び触れ合わせた。
これだけで満たされる気がするなんてどうしてしまったのか?
なのに獅子谷とだとこれだけで胸がいっぱいだった。
ギュッと抱き締めてその耳元に口を寄せる。
「好き」
ピクッと小さく跳ねて身動いだ獅子谷はまたこっちを見てキスを強請ってきた。
その顔がとろんと少し蕩けていてすぐに唇を寄せる。
チュッチュッと何度もリップ音を響かせて俺たちはキスを続けた。
◇◆◇◆◇◆
チャイムが鳴ってハッと獅子谷が顔を上げる。
その両頬に手を添えて真っ直ぐ獅子谷を見ると、獅子谷は真っ赤な顔を隠そうとした。
「ダメ」
その手を制してじっと綺麗な黒い瞳を見つめる。
「……まだわかんない?」
聞くと、獅子谷は小さくフルフルと首を振った。
「好きだよ」
もう何度目かの愛を囁くと、獅子谷は縋りついてくる。
ギュッと抱きついてくるのに返事はなくてちょっと残念に思っていると、
「…………たぶん……俺、も……か?」
ぽそっと小さく答えて手に力を込められた。
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