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次の日。
「……何、その上機嫌」
亮雅に言われても口元が緩むのが止められず笑みが溢れてしまう。
思いっきり亮雅が呆れたような顔をして舌打ちしても、俺は笑顔で……何なら今すぐにでも走って学校に向かいたいくらいだった。
「遅刻どころかめっちゃ早ぇし」
「当ったり前だろっ!!」
ため息を吐かれても、むしろ食い気味で答えてしまう。
早く学校に行って獅子谷に会いたいんだから!
朝、早く家を出た俺は駅に向かう途中の公園でのんびりタバコを吸っている亮雅を見つけた。
その亮雅をひっ捕まえてさっさと登校しているのだが……さっきから亮雅の文句が止まらない。
「ウゼぇ……」
スラックスのポケットから再びタバコを出そうとするのを見て睨むと、亮雅は深いため息を吐いてガックリと項垂れた。
「マジで腑抜け過ぎだろ」
「あん?」
「あのギラギラしたカッケぇ圭斗はどこ行ったよ」
ガチでテンションを落としながら両手をポケットに突っ込んで猫背になる亮雅をじっと見下ろす。
そのまま足を止めると、亮雅もすぐに止まって振り返った。
「俺は俺の思うままに生きてるだけだぞ。あの頃はあの伝説の男にただ憧れてたし、今は獅子谷に夢中なだけだろ?」
どっちも同一人物とは口にせずただ真面目に言っているだけなのに、亮雅は理解していないのか眉を寄せる。
「だから、何で獅子谷?あんだけ女抱きまくって……ヤり過ぎてカイロぶっ壊れたのか?」
不貞腐れたような不満を前面に出した亮雅は吐き捨てるように言って俺の胸倉を掴んできた。
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