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第2話-2
「君ってあのサムと同室なんだってね?」
声をかけた来たのは先ほどの授業で一緒だった子だ。
「うん。そうだけど? なに?」
「いや、なんか脅されてるんじゃない?」
「へ? どうしてさ」
「だって、彼って何考えてるかわかんないじゃない? 一緒にいると威圧されるしさ、君も早く転室届けだした方が良いよ」
ときどき、こういって変に同情されることが増えた。
「悪いけど、僕はあの部屋が気に入っているんだ。転室する気はないよ」
確かにサミュエルは口数は少ないがそれだけだ。直接何かをされたことはないし、せっかく念願の広い部屋に移れたのに。それを手放すつもりはない。
「なんだ。じゃあ君が新しい相手なんだ?」
「相手ってどういう事さ?」
「とぼけちゃって〜。あの角部屋はさ、別名ヤリ部屋って言うんだよ」
「はあ? なんだよそれ?」
「あいつ同室の奴を手籠めにしてはヤリまくってるって話じゃん。だから君も……」
ニヤニヤしながら近づいてくる相手を思いっきり突き飛ばした。
「サムを馬鹿にするな! あいつはくそがつくほど真面目な奴なんだぞ!」
「なっなにすんだよ! ちょっとばかし綺麗だからってお高くとまってんじゃないよっ」
「何の事を言ってるんだ? お前、頭だけでなく目も悪いんじゃないのか!」
しまったと思ったが言ってしまった。僕は元々短気だ。それに喧嘩っ早い。小さい頃から兄弟喧嘩に慣れていたからだ。男ばかりで殴り合いも多かったから仕方がない。両親からはお前は見た目だけは麗しいから大人しくしとけと言われていた。僕のどこが麗しいんだ? まったくもって理解できない。
取っ組み合いの喧嘩になりかけたときに大きな手が僕らを引き離した。
「……やめろ」
「サム?」
僕を抱き込むような格好でサミュエルが相手を威嚇する。
「失せろ!」
「くそっ」
相手は尻尾を巻いて逃げてしまった。
「助けてくれてありがと。えへへへ」
「無茶をするな」
サムの眉間が寄る。これって僕が心配かけたからだよな。
「僕、短気なんだ。ごめんよ」
サムが無言のまま大きな手で僕の頭をぽんぽんっと優しく叩いた。
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