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第3話-3
ある日、俺が部屋をあけている時にアルベルトが俺のベットに乗っていた。
俺は失望した。とうとう動き出したかと。やはりこいつも義母の指示に従ってるのか。俺に何かを仕掛けてきたのかと思った。アルベルトなら信頼できるかと思い始めていただけにかなり残念だった。
「何をしているんだ!」
腹の底から怒りがわいた声が出た。しかし拍子抜けするような答えが戻ってきた。
「へ? 新しいシーツに替えてるんだよ」
「余計なことはするなっ」
この期に及んでごまかすのか? 思わず掴んだその腕は白く、俺が掴んだ箇所が赤くなってしまった。まさかこれぐらいで痕が付くなんて。思わずすまんと謝ってしまった。
しかし「悪い。今度からは声をかけてからするよ」と言われて本人は気にしてないようだったから、気まずくなって畳みかけるように言ってしまった。
「する必要はない!」
なんだ? 本当にシーツを替えてただけなのか? 何故他人のシーツまで替える必要があるのか?
疑問に思いつつ睨み続けていると今度からは自分でシーツを替えろ。でも当日中にしなければ僕がすると言い出した。何故そうまでして俺にかまうのだ? 何か魂胆があるんじゃないのか? 学園では一部の者にしか俺が公爵家の人間だとは教えていない。要らぬ思惑をもった取り巻き連中に囲まれるのが鬱陶しいからだ。
怪訝に感じていると今度は人間なんだから自分と話をしろと言い出した。この俺にだ。誰一人として怖がって父以外に俺に命令口調で話したものなどいなかったというのに。挙句の果てには自分にはテレパシーがないのやら相棒やら友達になりたいと言い出した。
こいつの頭の中はどうなっているのだろう。不思議と興味がわいた。アルベルトは見た目の外見だけでなく中身も素直で面白そうだ。彼といると飽きない。俺はいつしか彼といる空間が心地よく感じるようになっていた。自然と彼の姿を目で追ってしまう程に。
そんなある日、珍しくアルベルトが廊下で声をあげていた。
「サムを馬鹿にするな!」
俺のことで喧嘩だと? 何故だ? 自分のことじゃないのに何故俺を庇うんだ? しかも相手は伯爵の子だ。相手がアルベルトを掴む前に止めに入った。抱えたアルベルトの身体は細身だが引き締まっていた。触れた髪は思ってたよりも柔らかく絹のようにやわらかい。
そうか。俺はアルベルトを誰にも触らせたくなかったんだ。
だから、俺が目を離した隙に寮長に連れていかれたと知った時は怒り狂ったのだった。
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