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第17話-2

「プラスになる?……それは皆にアルの可愛さを見せろという事か?」 「へ?何を言って……いや、まてよ。それは良いアイディアかも知れない!」 「と、申しますと?」 「パレードはどうだろうか?」 「パレード?」 「そうだよ。ここに騎士団を作るって言う宣伝もかねて、僕たちの婚約披露パレードをしよう」 「おお。いい案でございますね!」 「婚約披露か。なるほど」 「自警団の皆にも一役買ってもらおうよ」  これなら一石二鳥じゃない? 「ここに騎士団の支部をつくることによって今以上にこの地を王都が期待をしているという事を皆にわからせるんだ」 「そうだな。形がつけば、王都からも遠征団の訓練部隊が来たり、こちらから王都に出向くことも増えるだろう」 「なるほど。ついでにチカラ自慢の者達を勧誘してもよろしいかと」 「いいけど、予算はどれぐらいかかるの?」  これから農地改革などしていくには多少の予算を置いておいてもらいたい。 「それについては今までは自警団として我が領から捻出していたが、今後は王都からの支援ももらえるよう話しをつけてある」  さすがサミュエル!こう言う時は頼りになる。口には出さないだけでいろいろと考えて動いてくれてるんだろう。  自警団の団長のヴァイスに相談すると二つ返事で了承してくれた。公爵家の馬車を使うらしい。いや、今はサミュエルのものだから侯爵家の馬車か。 「本当に俺らが騎士団に入れる可能性があるなんて。信じられないぜ」 「ああ。まずは入隊試験があるが、俺がみたところ半数以上は合格ラインだ。もし入隊できなくても準師団ということで雇えるように交渉中だ」 「サミュエル様、ありがとうよ!」  サミュエルとがしっと腕をくんでヴァイスはニカッと笑った。男友達っていいな。 「では次はアルベルト様ですね」  デセルトがニコニコと僕を引き連れていく。なんだ?と思っていると侍女達に囲まれて着せ替えが始まった。 「アルベルト様の美しさに更に磨きをかけましよう!髪の手入れを!香油で肌を磨き上げて!」 「え?、いや、あの」 「私達、ここに配属されて久しぶりの侍女らしいお仕事なのです!どうかお任せください!腕がなります!」  張り切っている彼女らに水を刺すわけにも行かない。そうか、留守を預かってはいたがこうして、誰かに仕えて仕事をすることはなかったのかもしれない。 「ありがとう。では皆んなにすべて任せるよ。僕をどこに出しても恥ずかしくないように磨いてくれ」  なんだかやったことのないパックやらマッサージやら深夜まで磨かれその日もへとへととなり就寝した。目覚めるとまたサミュエルの腕に抱き込まれていた。ごめんよ。また起きて待っていられなかった。 「手触りがいいな」  サミュエル。ニヤニヤしながら何度もあちこち触りまくるのはくすぐったいからやめてくれ。 「アルさまー!」   農家の方々が今日の収穫物を持ち寄ってきてくれたようだ。そのまま城に居着いて馬車の飾り付けやら手伝ってくれている。 「ありがとう!でもいいの?仕事は?」 「仕事はもう朝のうちに終わってますだ。へへ。アル様にお会いしたくて昼間はここで手伝いさせてもらいに来ましたんで」 「ちょっと!交代だって言ったでしよ!あんただけアル様とお話しするんじゃないよ!」 「あはは。皆んなありがとう」  

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