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第26話-2
「何?隣国から使者が来るだと?」
「はい。朝方こっそりと通達がまいりました」
なるほど、人目につかぬようにブルーノの元に届いたのか。
「そうかそうか。では吾輩の手紙が届いたのじゃな。がははは」
「なんと送られたのですか?」
「くくく。辺境地にて反乱あり。今なら容易く攻めいることが出来ると言った内容だ」
「反乱が起きるのですか?」
ブルーノが驚いたように聞いてくる。本当に起きなくともよいのだ。ただの噂だけで皆動くのだ。噂好きな馬鹿どもばかりだからな。
「そんなものこちらから起こせばよいのだ。ちょっとそれらしく装うだけで相手はそうだと思い込むだろう。噂とはそういうものだ。がははは」
「なるほど。今までもそうやって噂を流していたのですね」
「ふん。信じる者が悪いのじゃ!」
「ノワール様。ただいま戻りましたっす」
王都に行かせたライナスが帰ってきおったか。今回は荷が多いからとマント男もついていきおった。
「おお!ライナスか!今回も品を持ち帰ったか?」
「いえ。今回は人でした。二十人ほど……」
ライナスは疲れたような顔をしてマント男に支えられていた。
「はあ?なんじゃそれは?」
見れば荷馬車に数人。他にも馬に乗った者達がついてきていた。
「とにかく。おいら今回は緊張して疲れたのでこれで帰らせてもらいます」
「ノワール伯爵。お久しぶりです」
「何でも屋ではないか!久しぶりじゃのお。どうした急に?」
「今回は強者を募集していると聞き及びまして直々に連れてまいりました」
「そうであったか。でも、もう人数はかなり……」
「数は多い方が良いでしょう。俺が連れてきたのはかなりの強者ばかりです。これならこの地を反乱できる」
「わわわ、本気でするのではないぞ。マネだ。マネだけをすればいいのだ」
「そうでした。そうでした。しかし相手に本物だと思わせなければ意味はありませんよね?」
「ぐぬぬぬそうであろうか?」
「ええ。当り前でしょう。ところで私がお渡しした品々はどこに隠されてるのですか?」
「吾輩しか知らぬ隠し部屋じゃ。お前に言われた通り。高貴な者しか手に出来ない高額な品であるからな。侍従だけでなく家の者にも誰にも場所は教えてはおらぬ」
「それはそれは。さすがは伯爵様のお屋敷ですね。隠し部屋がおありとは」
「がははは。そうじゃろう!」
「まさかと思いますが使ってはいないでしょうね?」
「もちろん。吾輩は野蛮なことはする気はない。力を誇示するために必要なだけだ」
「そうなのですね。しかしあれらは手入れが必要なのですよ。いざというときに使えないのでは価値が下がってしまいます」
「何?価値が下がるのか?それは大変だ!高額だったのだからな」
「幸いにもここに居る者は普段から使い慣れておりますので手入れができます。どうかその場所に連れて行ってはもらえないでしょうか?」
「そうか。では仕方ないな……」
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