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第27話-1 突入
「ここには自警団がいるらしいからな」
「はッ自警団?そんな田舎の素人の集まりに何ができるってんだ!」
「領主も若い息子に変わったところっていうじゃねえか!」
「なんじゃ?お、お前らまさか本気で謀反を起こす気なのか?」
ノワールが焦りだす。
「くくく。今ごろ気づいたのか伯爵さんよぉ?」
さっきまで腰が低かった何でも屋が急に口調を変えた。
「王都で武器を集めるのは目をつけられるからな。辺境地の離れた場所に目を付けたのさ。少しづつ荷の中に武器を隠し入れ送り込む。もっともあんたは武器を隠し持つのも貴族のステータスだと思い込んでいたようだがな」
「武器も財宝の一つだと言ったのはお前ではないか!」
「そうさ。戦に必要な武器はもしもの時には金より役に立つお宝だからな!」
「それにもし失敗したとしても首謀者は伯爵だ。俺たちは金で雇われただけだと逃げおおせる」
「なっなんだと!このっ」
ノワールが男に掴みかかろうとして逆に引き倒され殴られる。
「ぐぁあっ。痛いっ。やめてくれぇ」
「あん?そこの女っ、さっきから俺らを睨みつけてやがるが何か文句があるのか?」
「……結局何がしたいというの?」
「同胞たちの無念を晴らしたいのだ」
「同胞って貴方たちは隣国との戦の生き残りなの?」
「そんなのリーダーだけさ。すでに代替わりしてる俺たちは暴れたいのさ!」
「暴れるにしても辺境地なんてたかが知れてるのでは?」
「だが、王都と同時にならどうだ?そこに混乱に紛れて隣国が攻めてきたら?へへへ」
「そうか。それなら大ごとになる……」
「こらっ……お前らしゃべり過ぎだ!」
何でも屋と呼ばれる男が怒鳴る。
「お前教育係とか言ったが身のこなしに隙がないな?」
「ええ。護身術も教えてますから」
「ふっ。気の強い女は嫌いじゃねえ」
「ノワール様。ブルーノです。隣国からの使いがいらしてますがいかがいたしましょうか?」
ノックの音と共にブルーノの声が聞こえる。
「何?使いだと?」
周りにいた男たちがおおっと声をあげる。
「わ、吾輩が隣国に文を出しておいたのじゃ。……まさか本当にこのようなことになるとは」
「ありがたい!ふはは。これであんたは本当に首謀者だ!」
「吾輩はなんと愚かな事を……」
「ブルーノさん。伯爵はお疲れのようでしてお休み中です。今からわたしが代理でそちらに参りますので少し扉から下がっていただけますか?」
何でも屋が声色をかえて丁寧に扉の向こうに話しかける。
「かしこまりました。では扉を開けずにお待ちしております」
「くくく。あんたのとこの執事はよくできているな。今この部屋を見られるわけにはいかねえ。おい!お前ら伯爵を逃げない様に見張っておけよ!」
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