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第27話-2

 扉が開いた途端に閃光弾がバチバチっと放たれた。 「今だ!」  《《僕》》は叫んだ! 「うっがああ!」  部屋の隅で目立たないように背を丸めていた熊のような大男がいきなり立ち上がり周りの男を押し倒す。 「くそっ!やっちまえ!」  剣を抜き男たちが構えるとマントを羽織った男が狭い部屋の中を駆け巡る。 「このやろ!ひ、人質だ!こっちには女が……うぎゃ!」  《《僕》》の腕を掴んでいた男があっという間に吹っ飛んだ。 「俺のアルに触るな!」  地を這うような低い声が響いた。男を素手で殴り飛ばすと僕を抱きしめる。ああ。これは怒ってるな。いや激怒だな。やはりサミュエルは凄いな。化粧で顔を隠して女装もしているのにすぐに僕だとわかっちゃうんだもの。 「ご、ごめん」 「後でお仕置きだ!」 「ひぇ……何されるのだろ……?」  チュッと僕の頬にキスを落とすとサミュエルは戦いの中に飛び込んで行った。 「来るな!こっちには銃があるんだぞ!」  別の男が傍に居る男たちに銃を渡し始める。 「だが弾丸はない!」  僕の声に銃を手にした男が驚く。 「はん!こっちには弾丸の箱が……中身は石だとぉ?」 「私めがすり替えておきました」  ブルーノがすっと脇から短刀を飛ばす。ワァオ!ブルーノってナイフ投げの達人だったりするの? 「凄いっ!」  すると今度は僕の手に剣を握らせる。早業だぁ!ブルーノって手品も出来るのかも? 「昔、アレーニア様と二人で追手を倒したことがありまして……」  正面から突っ込んでくる敵に今度は蹴りをくらわす。 「あの時のアレーニア様と貴方は本当に瓜二つです」  横から来る敵に僕が斬り込む。 「こんな風に?」 「ええ!まさしくそのとおり!」 「アル!俺以外の男と絡むな!」 「ひゃい!ご、ごめんっ……なさい!」  サミュエルが鬼面のまま素早くこちらに戻ってくる。ガッと頭を掴まれ噛みつくようなキスをされた。ついでに顔をゴシゴシとふかれ化粧も落とされてしまう。 「中にいるとわかった時の俺の気持ちがわかるか!」 「ぅっ……はい」  周りはほとんど倒されていた。何でも屋と呼ばれた男は縄で縛られている。 「サミュエル様。そのぐらいで。それにアルベルト様のおかげにこいつら結構ぺらぺら喋ってくれたし」 「ヴァイス。アルはそんな危ないことをしていたのか?」 「おわっと。あ~、そのなんだな。きっと女性だと思って気を抜いて話したんだと思うんだ。男に話しかけられた方が警戒したんじゃねえのかなぁ?」  今までヴァイスはノワールの傭兵に扮していたのだ。こんなに大きな体なのに綺麗に存在感を消していた。本当に強い男って違うんだと思った。でももう一人気になる人がいるんだな。  

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