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第28話-1 後始末

 すべてブルーノがうまく手を回しをしてくれた。ノワールが出した手紙は隣国ではなくサミュエルの手に渡っていたし、隣国からの使者が来るというのも相手を油断させる嘘だ。いざと云う時は顔が知れてないフレッド兄さんに使者の真似でもさせようかと思っていた。 「私の落ち度でもあります。もっと早い段階で突き詰めて置けばよかったのかもしれません」  前々から帳簿の数字が合わないときがあったが、しつこく問い詰めると癇癪(かんしゃく)を起すので仕方なく放置していたのだという。まさか武器を買い集めていたとは思わなかったそうだ。 「それが武器だと知ったのは最近の事です。こそこそ何かをなさってましたが。正直言って私はもうここを辞めるつもりでしたのでどうでも良くなっておりました」 「やめるつもりだったのか」 「はい。どこか遠くに行くつもりでした」 「残ってくれていてよかった。母さまも久しぶりの再会に喜んでたでしょ?」 「はっはい!もう二度と会えぬと諦めておりました……まさかまたお会いできるなんて!」  感極まった様子で涙ぐむブルーノ。彼の中で母さんは神聖化されてるんじゃないだろうか?ちょっと心配になってくるよ。でもまあこれまで大変だったと思うな。 「あの伯爵の元でブルーノはよく頑張ってたと思うよ」 「ノワール様は中身が子供のまま大人になられたような方なのです」  普段からノワールにおいては何に使ったのかさえわからない収支も多々あり、恐らくブルーノが居なければあっという間に財政難に苦しんでいただろう。 「隠し部屋はすぐに見つかりましたが、あんなに大量な武器があるとは思ってませんでした。銃や剣がなくなればすぐに気づくでしょうから銃弾を抜くことにしました。小石を詰めて空の箱の重さが変わらない様にしたのです」 「ありがとうブルーノ。助かったよ」 「いいえ。アレーニア様の……アルベルト様のお役に立てて良かった」  ノワールは屋敷の離れで幽閉となった。アンジェリカは父親が幽閉となり最初こそ現実逃避をしていたが母さまに平手打ちをくらってからは正気を保っている。あれは痛かっただろうな。僕でもすぐに目が覚めると思う。 「すげえ。アルベルト様の母上様はすげえ」  自警団の団員達の言葉を聞いて前にも似たような事を聞いたような?気のせいかな? 捕まえた反乱分子達は今はまとめて牢に入れられている。  夕方には王都から騎士団がやってきた。フレッド兄さんが来たルートで駆け付けてくれたようだ。ちなみにこのルートはノワールの父親が見つけてくれたんだ。森林を分け入って通るルートで温泉地の傍を通る。ゆくゆくはそこを天然温泉の名所にしようか検討中だ。でも動物たちの為には開発はしないほうがいいか悩み中である。  王都の騎士団は元々は自警団の騎士団入隊試験のためにこの領に遠征に来たのだったのだが、思わぬ騒動となってしまった。まあ、ついでだからとこのまま入隊試験が終わった後に王都まで連行するらしい。  

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