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第3話 恋人としての距離感(3)★
「ん、ぅ……」
くちゅっ、と唾液の交わる音。何度も角度を変えながら口づけが繰り返されれば、次第に頭がぼうっとしてくる。
それでもまだ理性は残っていて、襟元を緩めてくる高山の手をやんわりと制した。
「高山さん、ここじゃ」
「ああ悪い、ついがっついちまった。ベッド行くか」
高山が苦笑を浮かべながら言う。かと思えば、ソファーの横で片膝立ちになり、侑人の体を軽々と抱き上げてきた――いわゆる《お姫様抱っこ》である。
「っわ、あ!?」
「おっと暴れるなよ。落っことしちまうだろ?」
突然の浮遊感に、侑人は慌てて高山の首にしがみつく。困惑やら羞恥やらで目を白黒させる間にも、寝室へと移動した。
ベッドに到着すると優しく横たえられて、再び高山が被さってくる。視線が交わるなり、二人の唇は自然と重なった。
「んっ……は」
唇のみならず、額や頬にもキスを落としながら、高山がネクタイを解いてくる。
気がつけば、Yシャツのボタンはすべて外されていた。
高山の唇は首筋から鎖骨へと下りていき、時折強く吸い付いて鬱血の痕を残していく。それも、すぐには消えないよう同じ箇所にしつこく。毎度、困ったものである。
「っ、痕つけんなっていつも言ってんのに」
「いいだろ。ネクタイ締めてれば見えねえっての」
悪びれることなく言って、高山はさらに痕を残そうとする。
同時に、大きな手のひらが脇腹から胸元へと這い上がってきた。肌の感触を楽しむかのように撫で回されたあと、胸の突起をきゅっと摘まれる。
「ふ……っ、あ」
指先で転がされたり、爪で引っかかれたりするうちに乳首はぷっくりとして、むず痒い痺れが広がっていく。じきに触られていない方も疼いてきて、侑人は自ら無意識のうちに押し付けていた。
高山は心得たようにもう片方へと唇を寄せてくる。舌先で転がすように突起を舐められ、快感がゾクゾクと背筋を伝ってきた。
「んっ、あぁ……」
ちゅうっ、と音が立つほどに吸われたあと、今度は優しく歯を立てられる。緩急をつけた愛撫に翻弄され、侑人は背を仰け反らせながら身悶えるしかない。
息はすっかり上がっていて、下腹部も先ほどから疼きっぱなしだ。もっと強い刺激がほしい――そう訴えたくても素直に口に出せるはずもなく、もどかしげに両膝を擦り合わせる。
「なんだ? ここ、もう辛いか?」
「……っ」
言わずとも伝わったらしい。高山の手がするすると下腹部へ下りていく。
侑人のものは布地を押し上げるどころか、スラックスにまで薄っすらと染みを作っていた。それを目にした高山は、当然目を細めていやらしく笑う。
「あーあ、スラックス汚しちまって。どんだけ興奮してるんだ、このスケベめ」
「あ、あんたには言われたくないっ」
「まだ悪態つくのかよ……ま、体に訊いた方が早いか」
「ちょ、いきなりっ」
前を寛げられたかと思えば、次の瞬間には下着ごとスラックスを剥ぎ取られてしまった。
冷たい外気に晒され、勃起しきった侑人のものがふるりと震える。先端は先走りで濡れそぼっており、高山の手によって糸がつうっと引く様を見せつけられてしまう。
「っ、あ……」
「反応よすぎ。もうとろっとろじゃん」
高山が先走りを掬い取るようにして指を滑らせてくる。裏筋をなぞられ、根元から先端にかけて扱かれ、自身はさらに蜜を溢れさせていく。
早くも侑人は達してしまいそうになり、慌てて高山の袖口を掴んだ。
「やっ、あ……ま、待って、高山さんっ」少しの間のあと、震える声で告げる。「そっちじゃ、なくて……」
そう待ったをかけると、高山は手を止めてこちらの顔を覗き込んできた。
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