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第3話 恋人としての距離感(5)★

「……ああ駄目だな。お前が可愛いあまりに、つい意地悪したくなっちまう」  ずるりと指が引き抜かれ、カチャカチャとベルトを外す音が聞こえてくる。高山は滾ったものを取り出すなり、手早くコンドームを装着して侑人の後ろに宛がってきた。 「あっ、は……高山、さん」  早くほしい。熱くて硬いもので奥まで貫かれたい――荒くはあはあと息をしながら、侑人は期待に満ちた眼差しを向ける。  高山は熱っぽくこちらを見つめ返したあと、吐息混じりに呟いた。 「もっと焦らしてやろうかと思ったけど、俺も限界だ」  と、こちらの腰を掴むなり、あろうことか最奥まで一気に穿ってくる。 「ああぁっ――!」  喉奥から悲鳴のような甲高い声が上がった。強すぎる刺激に目が眩むなか、全身が悦びに打ち震えているようだった。 (あ、やばい……挿れられた、だけで……)  腹部に生温かい感触を感じ、呆気なく達してしまったことを知る。  高山も目ざとくそれに気づいて、笑みを深める。 「挿れただけでイッたのか? どんだけ敏感になってんだよ」 「だ、だって」 「……こんなので突いたら、どうなっちまうんだろうな」  低い声で囁きつつ、高山が腰を引いていく。  うわごとのように「やだ」「待って」と、侑人が口にするも聞く耳持たず。先端近くまで引き抜かれたところで、ズンッと勢いづけて突き上げられたのだった。 「ひ、うぅっ!」  内臓を押し上げられるような衝撃に、侑人は大きく仰け反った。視界がチカチカとして、またもや自身から精液が垂れ落ちる。 「はは、トコロテンかよ。突くたびに出すなんてエロすぎ」 「っあ、あ! や、んん……っ」  吐精が止まらない。激しい突き上げに押し出されるようにして、ぷしっぷしっと自身から細く白濁が溢れ出ていく。  長い絶頂感に気を狂わされそうになるも、また休む間もなく快楽を叩き込まれてしまう。思わず逃げ腰になるがそれも許してもらえず、しっかりと抱え直されてガクガクと揺さぶられる始末だった。 「あっ、ひ、ぁ……も、むりぃ……っ!」 「ずっとこうされたかったんだろ? 素直になったぶん、ご褒美はちゃんとあげないとな」 「ぅあっ、あ、らめえっ……! たかやましゃ、あ、あぁっ――」  絶頂の波は一向に引かず、高山の背に爪を立てながら何度も達する。  もはや精液が出ているのかもわからない。それでも体は貪欲に快楽を求め、ねだるように男根を締め付けてしまっていた。 (も、飛びそう……)  陶酔が波のように打ち寄せて、だんだんと意識が朦朧としてくる。そんななかで見上げた高山の顔は、荒々しい行為に反してひどく優しげだった。  毎度のことながら、事後の甘い雰囲気など皆無である。侑人はベッドから起き上がる気力もなく、ただぼんやりと天井を眺めていた。 (気持ちよすぎて、死ぬかと思った)  こんな感想を抱くのはいつぶりだろうか。途中、何度か意識を飛ばしてしまった気がする。  一方で高山はというと、隣で普段どおり煙草を吸っていた。  文句の一つでも言いたくなったけれど、今は気怠さの方が勝っていて、黙ってその横顔を見つめる。すると何を思ったのか、すっと手が伸びてきて唐突に頭を撫でられた。  余裕綽々な態度がまた気にくわない――せめてもの仕返しに、と侑人は煙草を奪い取る。見よう見まねで口に咥えて吸ってみるが、言わずもがな盛大にむせてしまった。 「大丈夫かよ。吸い方知らないくせに無理すんなって」  高山は呆れたように言って、侑人の手から煙草を取り上げる。これ見よがしに口でふかすものだから、なんだか無性に悔しくなった。 「くそっ、なんでいつもそんなに余裕あんだよ」 「セックスの話か? そうだなあ……経験の差か?」 「………………」 「おいおいそんな目で見んなって、冗談だっての」

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