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第4話 恋に落ちたあの日のこと(3)★
「な、何してっ!?」
「ん? 何ってフェラに決まってんだろ。それとも、乳首舐められる方がよかったか?」
まだそこは感じないだろうと手っ取り早い方を選んだのだが、侑人は目を白黒させて狼狽えるばかりだ。さすがに早急すぎただろうか。
高山は一旦口を離すと、根元から先端までねっとりと舐め上げる。大した刺激でないにも関わらず、侑人のそれは硬度を増して膨張していき、頭上から聞こえる吐息も熱を帯びていった。
「やっ、あ、待って……やだっ」
「嫌? そのわりには腰揺れてんじゃん」
高山は意地悪く問いかける。
口淫したまま視線を上に向ければ、視覚的にクるものがあったらしい――侑人はじたばたと暴れ出した。
「~~っ!」
「いって……おいおい、こんなときに暴れるヤツがあるか」
反射的に口を離したからよかったものの、なかなかに扱いの難しい男である。
こうなっては手を変えざるを得ない。やれやれと高山は下衣を剥いでやった。
「ったく、わかったよ。じゃあこっちは?」
侑人の脚を大きく開かせ、間に割って入る。そろりと背後に手を回すと、慎ましく閉じた蕾に触れた。
「っ、そこは」
期待と不安の入り混じった表情で、侑人がごくりと喉を鳴らす。
反応を見るからに――人とこのような行為に及ぶことはなかったにしろ――後ろを使うのは初めてではなさそうだ。
それを確かめるや否や、高山はベッド下の収納ケースを探る。
「もしかして――」
手探りで取り出したコンドームのパッケージを破ると、手早くゴムを中指に装着した。そこにローションを垂らしてから、あらためて後孔へと指を押し当てる。
「後ろの方が好き、とか?」
言葉の続きを述べれば、侑人は何とも言えぬ顔で視線を逸らした。図星らしい。
高山はフッと笑みをこぼしつつ、緩やかに中へと押し進めていく。
当然のごとく内壁がきつく締まったが、それもほんの少しのことだった。抜き挿しを繰り返し、体内を押し広げるようにほぐしていけば、そこは次第に柔らかく蕩けだす。どう考えても、一人で遊んでいたのは間違いない。
「指、結構すんなり入るな。よく自分でイジってるのか?」
「っは……んっ、い、言えるわけないだろっ」
「つまりはイジってるってことか。なら、こういったとこも触ってよさそうだな」
ローションを足しつつ指を増やすと、内壁をまさぐるようにして動かす。腹部側のある一点を掠めた瞬間、ビクンッと侑人の体が跳ね上がった。
「ひ、あっ!? あ……あぁっ」
随分と感度がいいのか、軽く触るだけでも面白いくらいに反応を示す。いい気になって、指の腹で何度も撫で上げれば、ますます声に艶が増していった。
「は、感じまくりかよ。可愛い顔してやらしいな」
「あっ、あぁ……なに、そこ……っ」
「前立腺。なんだ、触ったことなかったのか?」
「しらな……あ、んっ」
頃合いを見て三本目の指を挿入する。バラバラに動かして内壁を広げ、同時に前立腺を刺激してやると、侑人は背をしならせて喘いだ。
ただ、相変わらずイヤイヤでもするかのように、悩ましく首を振っている。快楽に身を委ねればいいものを、未知の感覚に対する戸惑いの方が大きいらしい。
「そんな、優しくなくていぃ……っ」
「乱暴に抱けっての? そいつは無理な相談だな。どうせなら、うんと可愛がってやりたいに決まってんだろ」
「や、あっ、もうやだって……はやく――」
侑人が蕩けきった顔をして呼びかけてくる。目元を赤く染め、荒い呼吸を繰り返している様はなんとも扇情的だ。
高山は愛撫の手を止めると、真っ直ぐにその瞳を見つめた。
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