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第5話 あと一歩の気持ち(5)★

「っ、……っ!」  恥ずかしくなって身じろぎするが、腕の力は緩まない。  高山は苦笑しつつ口を開いた。 「わかったわかった。お前が寝付くまで話でもしてやるから。ほらこの際だ、何でも訊いていいぞ?」  まるで子供をあやすような口調に引っかかりを覚える。が、侑人は途端に静かになって考えを巡らせた。 「……だったら訊きたいんだけどさ。高山さんは、俺に何かしてほしいこととかある?」  言ってから、今の状況で訊くのもどうなのかとハッとする。案の定、高山はおかしそうに笑っていた。 「誘ってんのかよ」 「違ぇわっ!」  反射的に言い返して、侑人は弁解する。 「だって俺、何もかもしてもらってばっかだし――フェアじゃないだろ? 俺だって何かしてあげたい、っつーか」 「いいんだよ、俺はそれで。好きな相手にはベッタベタに甘やかして、うんと優しくしてやりたいんだ」 「そういう話じゃないっての……ああ駄目だ、高山さんって変わってる」  はあ、とため息をつく。  やはり一方的に与えられるばかりでは気が引けるというか、対等な関係ではない気がしてならない。告白の返事を先送りにしているとはいえ、せめてもの気持ちを返したかったのだが、どうにも上手くいかないものだ。 「そこまで言うんだったら――」  しばらくしたのち、高山がフッと笑って口を開いた。言葉の続きを待ったが、その前に手を取られて下腹部へと導かれる。 「え、ちょっ!」  手のひらに硬く熱い感触が伝わってきて、侑人は息を呑んだ。  動揺のあまり手を引っ込めようとしたが、逆に強く押し付けられてしまう。高山は平然とした様子で言ってのけた。 「触れよ」 「だからっ、なんでそっちに持ってくんだよ!」 「『何かしてあげたい』んだろ?」  したり顔をする高山。ムードに流されて忘れていたけれど、元よりこういった男だった。 「このエロオヤジ……っ」  悪態をついても、高山は言われ慣れているとばかりにニヤついている。  ここで引き下がるのも悔しい気がしたので、侑人は意を決して高山のものを握り込んだ。形をなぞるように指を這わせれば、手の中で膨らみが増していく。 「なんだかんだ言いつつ、触ってくれるんだな?」 「う、うるさい」  布地越しというのも触りづらく、思い切って下着の中へ手を突っ込むと、直接それに触れることにする。手を動かすうちにも固く反り返っていく様に、思わず喉が鳴った。 (マジで、高山さんのでかすぎ……)  毎度のことながら、自分のものとは比べ物にならない大きさに圧倒される。と、同時にゾクゾクとして妙な気持ちにもなってしまう。  この凶悪なまでの男根を、いつも体内に挿れられているのかと思うと――、 「手、止まってるぞ」  声をかけられて侑人は我に返った。慌てて手を動かそうとするが、高山は唇を寄せるなり囁くように告げてくる。 「どうした? エロい気分にでもなったか?」 「っ!」  侑人の顔がカッと赤くなった。  図星と受け取ったのか、高山は嬉しそうに口角を上げて、首筋やら耳朶やらに口づけを落としてくる。まるで慈しむような行為ではあったが、こちらとしてはたまったものではない。 「あっ、待って……」 「安心しろよ。さすがに病人抱いたりはしねえから」  さらには高山の手が体をまさぐり始める。脇腹をなぞられ、胸元に触れられ――些細な触れ合いにもビクビクと反応してしまう。  気がつけば下着の中はすっかり窮屈になっていて、もはや辛抱ならないところまで来ていた。

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