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第9話 結婚式と、それから…(4)★

「ああ。ちょうど目に入って――ほら、動画撮るのもいいんじゃないかってな。思い出はなるべく残しておきたいだろ?」  と、可動式モニターを反転させる。  そこには唖然とする侑人の姿が映っていた。もう動画撮影モードに切り替わっているのだろう、録画中を示す《REC》という文字が表示されていてギクリとする。 「さ……最悪っ! このエロオヤジ!」  「おー、その感じ久々だな」 「なにが思い出だよ! これ、普通にハメ撮りだろ!?」 「まあ、そうとも言うかもな」 「そうとしか言わねーよ! 変態!」  困惑と羞恥がない交ぜになった感情をぶつけるも、高山はどこ吹く風だ。再びソファーに腰掛けると、こちらの体を抱きすくめて膝の上へと座らせる。 「どうせ大してバッテリーもたないし、いいだろ?」 「『大して』って、どれくらい?」 「だいたい三十分くらいか?」 「~~っ!」 「あーわかったわかった。ちょっと撮ったら止めてやるよ」  ジタバタと暴れてみせれば、宥めるような口づけを数度繰り返された。侑人は抵抗をやめて高山の顔を見上げる。 「絶対?」 「ああ、絶対」 「……もう。わかった、好きにしろよ」  ややあって渋々と呟く。いつも流されてしまうのが悔しくてならないのだが、こればかりはどうしようもない。  高山はいたずらっぽく口角を上げると、あらためてタキシードパンツに手を伸ばしてきた。パチンッとサスペンダーを外したのち、下着ごと一気に引き抜く。  そうして背後から抱きしめられながら、カメラの前で下半身を露出させられたのだった。 「っ……」  あまりの羞恥に、侑人は真っ赤になった顔を背ける。  高山はそんな反応を楽しむかのように、そろそろと太腿を撫で回してきた。有無を言わせず脚を開かせて、股の間へと手を差し入れてくる。 「すげ、ビンビンだな」  屹立の先端を指先で弾かれ、侑人の肩がびくんと震えた。  高山はローションをたっぷりと手に取り、しばし体温で馴染ませてから、侑人の後孔へと塗りたくる。やがて、ぬるぬるとした感触とともに指先が体内に入ってきた。 「あ、うっ」  そこは難なく異物を呑み込んでいく。高山の指はすぐに性感帯を探り当て、的確に刺激しては内壁を押し広げ始めた。 (どうしよう、撮られてるのに……っ)  正面からカメラが向けられていて、恥ずかしくてたまらない気分になる。  だというのに、体は勝手に昂ぶっていく一方だった。快感という快感が目まぐるしく襲ってきて、三本の指が難なく抜き挿しできる頃には、前も後ろもとろとろになっていた。 「どうした、侑人? カメラで撮られて興奮でもしてるのか?」 「っ、ちが……そんな、わけ」 「違う? じゃあ、なんでここがこんなになってんだよ」  高山は意地悪く言って、侑人の昂ぶりを握り込んだ。  そこはすっかり硬くなって天を仰ぎ、先端から透明な蜜をだらだら垂らしている。そのまま手を動かされれば、ぐちゅりと卑猥な音が響いた。 「んっ、あ、あぁ……」 「っは、やらしい音。どんだけ濡らしてるんだ」  わざと音を立てるようにして扱かれ、羞恥でどうにかなりそうになる。  けれど、与えられる快楽には抗えず、されるがままに喘ぐことしかできない。そんな様子もカメラはしっかりと捉えており、意識すればするほど興奮材料となって、ますます感度が上がっていくようだった。 「そろそろよさそうだな」  不意に高山が責め立てをやめる。体内に入っていた指を引き抜くと、己の欲望を取り出し、侑人の臀部に擦りつけてきた。

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